だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

広末涼子だと最後まで確信できなかった「柘榴坂の仇討ち」

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 はっきり言って顔が覚えられない人間である。

しかも、着物姿に日本髪を結っていたら、「あれ、この女優、なんとなく広末涼子に似ているなあ。声もちょっと似ているけど、彼女はもっとアニメっぽい間抜けな声だよなあ。うん、広末涼子ではないな」などと勘違いしても仕方がないのだ。

映画「柘榴坂の仇討ち」の話である。

私のように無知な人間でも、井伊大老が討たれた桜田門外の変くらいは知っている。

この映画の主人公は、井伊大老を守れなかった警護役の男である。大切な槍を奪って逃げた刺客を追い、その間に井伊大老は殺される。要人警護にあるまじき行為で、私は画面に向かって、「おいおいおい、井伊大老のそばを離れる奴があるか」と思わず叱責してしまったほどだ。

その結果、息子の失態を詫びるために両親は自害。自身は切腹することも許されず、「逃げた刺客を斬れ」と命じられる。そこからひたすら男は町を歩き続ける。藩邸を訪れ、明治になってからは新聞社を訪れ、刺客の手がかりを追い続ける。

主人公を演じるのは、中井貴一。私の中では、侍が似合う役者ランキング16位に位置している。ちなみに1位は、「七人の侍」のリーダー役をやった志村喬だ。まあ、これは完全に私の好みである。

刺客役を演じるのは、阿部寛。この顔と身長で侍というのは、ちょっと違和感がある。無理がない役柄があるとすれば、せいぜい必殺仕事人くらいだろう。とは言え、江戸時代にも高身長でイケメンはいたわけで、異議を唱えるほどではない。

で、中井貴一の奥さん役が広末涼子である。

最初、広末涼子に似た誰かだと思った。

役柄は、敵討ちに奔走する夫のためになれない仕事に就き、強欲な主人にこき使われてもひたすら耐え、無職のままの夫に文句一つ言わず、敵討ちが成った際は夫は自害するだろうから、その時は自分も死のう、と考えるような貞淑な妻である。

いやいやいや、この役柄で広末涼子はないわ。

そういう意識が、私の認知力に影響したのだろう。最後まで、彼女は、広末涼子みたいな女優としてしか認識できなかったのである。エンドロールで、本物の広末涼子だったことに気がついた。逆に言うと、それだけ広末涼子の演技がうまかったのかもしれないが、まあ、私は映画も演技も素人だからなんとも言えない。

映画としては、よかった。特に、「武士という身分はなくなったが、武士の心を持つ者たちは残っている」というエピソードは印象深かった。金を返せず土下座する元武士をかばうため、回りにいた元武士たちが名乗りを上げるのだ。ちょっと水戸黄門ぽい展開だった。

武士が大好きな私からすると、82点である。

 

 

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