だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

半沢直樹のいとこ 池井戸潤「仇敵」

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あまりキレイじゃない海が見えるレストランで食事をして、レジでお金を払っていると、横に小さな書棚がある。

見ると「ご自由にお持ち帰りください」と書いてあって、せっかくだから一冊もらうことにした。

私が持って帰ったのは、池井戸潤の「仇敵」という文庫本である。読んだことはないが「半沢直樹」の原作者であることは知っていて、少し興味がわいたのだ。そう言えばテレビドラマの「民王」も面白かったなあ。

読んでみると、銀行の庶務行員が主人公で、庶務行員とは銀行のロビーで客を誘導したり案内したりする人である。男性銀行員の中で唯一制服を着用し、銀行内でも弱い立場のようで、主人公恋窪商太郎も嫌みで神経質な上司からいじめられている。

恋窪はかつては大手銀行のエリートだったのだが、私腹を肥やす役員たちの策略により辞職に追い込まれたという過去を持つ。彼は、優秀な銀行員だったのだ。

このあたりは、「半沢直樹」と同じパターンであり、8つの短編を通じて、最後は犠牲になった元同僚たちの仇を討つという展開である。

ただ、半沢直樹と比べると、少々パンチに欠ける。自殺に見せかけて元同僚が殺されたり、ジャマになった社長がビルから突き落とされたりして死んでいるのだが、それが読む上で雑味になり集中できない。簡単に人を死なせすぎのような気がする。

まあ、現実はもっと簡単に人を殺す人間が多いので非現実的とは言えないのだが。

半沢直樹の従兄弟くらいの作品と言ったところか。半沢直樹の「倍返しだ」は効果的だったが、恋窪さんは、ボコボコにされたあと、「叩き潰してやる」とひとり言を言う。ちょっと弱いのである。従兄弟じゃなくて又従兄弟くらいかもしれない。

ちなみに私は、この主人公、小林稔侍の設定で読んだ。テレビドラマに「税務調査官 窓際太郎の事件簿」という番組があり、そのイメージに合致したのだ。町の冴えない税務官が、実は国税局の影の調査官という設定である。

このドラマ、もしかして原作は池井戸潤か、と思ったが違った。テレビドラマのオリジナルらしい。「仇敵」もいずれドラマになるのではないか。なれば、一話くらいは見るつもりである。

 

 

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