だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

あるビーフカレーの終焉、もしくはレトルトカレーとの闘い

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今日の昼ごはんは外食だった。

私は、外食はビーフカレーと決めている。カレーが好きなのはもちろんだが、迷うのが嫌いなせいもある。どんなときでも外食はビーフカレーと決めておけば、時間も脳細胞も無駄に使わないですむ。

だから、今日もビーフカレーを注文した。初めて入る店である。画廊喫茶などと書いてあり、私のようなデザイン業界の人間にはふさわしい。

と、そのときは、そう思った。

入って、すぐにガッカリした。飾られた絵が下手くそなのである。抽象画に見える具象画が多い。明らかに技術不足だ。

横の壁には何枚かの写真が飾られていたが、まるで魅力が感じられなかった。ミッキーマウスのヌイグルミをアップで撮ることに、いったいどんな意味があるというのだ。

どうやら素人の作品が飾られた画廊喫茶らしい。

まあ、いい。

別に絵を鑑賞しに入ったわけではない。ビーフカレーを食べに入ったのだ。私はビーフカレーを注文し、届くまでのあいだ「彷徨える艦隊6」を読み始めた。以前読んだのだが、幸い、完全に内容は忘れてしまっている。年を取るのも悪いものではない。

じきに「お待たせしました」とビーフカレーがテーブルの上に届いた。横にラッキョと福神漬の小皿が置かれる。私は、満足気に頷いた。

盛られたカレーの色、量、ライスとのコントラスト、いずれも合格である。牛肉が少々小さいような気がするが、まあ、500円である。800円なら文句も出ようが、500円ならこんなもんである。

で、食ったのだが、味もまあまあだった。3分で食べ終わり、水をおかわりして飲み干し、500円玉を支払って店を出たのだ。

以前なら、これで満足するはずである。

だが、私は、物足りなさを感じていた。

理由はわかっている。

物足りなさの要因は、レトルトカレーだ。昨今のレトルトカレーは、非常に良く出来ている。手軽でそこそこ安く、しかし文句なしにうまい。レトルトカレーに比べると、その喫茶店のカレーは少し味が物足りなかったのだ。

喫茶店のカレーは、レトルトカレーの存在により危機的状況に陥っていると言っても過言ではない。

外食はビーフカレーという決まりを、そろそろ変えるときが来たようだ。「今度はオムライスにするかな」と私は呟いた。