だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

ゾンビには新しいルールが必要だ、映画「アイアムアヒーロー」

f:id:b9q:20170814204225j:plain

ゾンビ映画が好きである。

だが、最近は、少々飽きてきている。ゾンビ映画なら、何が何でも見ねばならぬという意思は薄れてきた。数が多いということもあるが、ロメロ監督の「ゾンビ(Dawn of the Dead)」が傑作すぎたせいでもある。あれを超える作品がなかなか出てこない。新しい風味の現代版ゾンビとしては、「ゾンビランド」がいい出来だったが。

最近は、ゾンビも走ったりして目新しさはあるものの、やはりゾンビらしくない。あののんびり歩く姿こそが、ゾンビのゾンビたるゆえんである。

その意味では、「ロンドンゾンビ紀行」はうまく作られていた。由緒正しきゾンビと、歩行器でゆっくりしか動けない老人との追いかけっこは、意外とハラハラさせられたのである。

手法的には、例えば「AAAH! ZOMBIES!! 俺タチだって生きている」のようにゾンビ視点の映画も登場している。ゾンビ視点ではモノクロ、現実はカラーという凝った作りで、そこそこ面白かった。

さて、「アイアムアヒーロー」だ。

この作品のゾンビ映画としての新しさは、まず、ゾンビの呼び方。「ZQN(ぞきゅん)」というのは、なかなか秀逸である。「ワールド・ウォーZ」のZの使い方を見て、うまいものだなと感心したのだが、「ZQN」も負けていない。

もう一つ、ゾンビが過去に縛らているのが素晴らしい。

店員だったゾンビは、「いらっしゃいませ」とつぶやき続ける。陸上の選手は、頭がへこんでも走り高飛びをやり続ける。ゾンビが過去に縛られるのは前にも見たようなきがするのだが、思い出すのが面倒なのでやめておく。

ゾンビよりも人間のほうが怖い、というのも初代ゾンビから継続されているテーマなのだが、「アイアムアヒーロー」でもそれは同じだ。優等生的な独裁者が出てきて、主人公が持つトラップ射撃銃を奪うために人質をとったりする。

アメリカのテレビドラマ「ウォーキング・デッド」も完全にそのパターンだ。狂信者集団や圧倒的な暴力で支配するボスなど、まあ、あれはかなりショッキングで見ていて怖くて仕方がなかったのだが、それはゾンビの怖さではないのだ。

できれば、ゾンビよりも人間のほうが怖い、などという当たり前のテーマから離れて、「思い知れっ、これがゾンビの怖さだっ」という映画が見たいものである。

ちなみに私、「アイアムアヒーロー」の主役が大泉洋というのは、見ている間中気が付かなかった。エンドロールを見て、「えっ、そうだったの」と驚いたのである。彼の演技は非常に良かった。「楽しみな新人だな」と思った自分が恥ずかしい。

ま、顔が認識できない男だから、仕方がないね。

f:id:b9q:20170814204029j:plain

関係ないけど、これ、アイアムアヒーローの原点だね。

 

b9q.hatenablog.com