だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

胸がプルンと跳ねた? おっぱいの表現に疑問を感じたミリタリーSF「女王陛下の航宙艦」

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この間、本を買ったんですよ。

前知識なしに2冊買った。Amazonの評価を確認せずに買うのは珍しい。普段の私は、裸の美女が抱きついてきても、冷静に「やめたまえ」と突き放すほど慎重なんだが、つい、買ってしまった。金もないのに買ってしまった。

一冊目は「女王陛下の航宙艦」というタイトルで、近頃流行りのミリタリーSFである。

オンボロ戦闘航宙母艦〈アーク・ロイヤル〉の老艦長の元に緊急出撃命令がくだる。異星人の戦闘艦が現れ、人類の最新鋭艦隊があっという間にやられてしまった。このままでは地球がヤバイので、ちょっと行って奴らの侵攻を遅らせてくれというのである。

主人公が落ちぶれたアル中の爺さん(70歳)で、当然そんな艦に配属されるのは、各隊の落ちこぼれだけである。その設定にひかれて、つい、買ってしまったのだ。弱みのある主人公というのは魅力があるからな。

一日で読めたから、出来としてはマアマアなのだろう。

家に帰ってからチェックしてみると、Amazonではあまり評価が高くなかった。「これは、失敗だったか」と思ったのだが、それほどひどいわけではない。ただし、ちょっと文章が幼い。特に、女性の描写が紋切型である。

例えば、こんな描写だ。

「上着を脱がせると、胸がプルンと跳ねた。ローズの手がズボンのなかに伸び、シュナイダーは股間が硬くなったのを感じた……」

いやいやいや、プルンはないでしょう、プルンは。せっかくのおっぱいなのだから、もっと精緻に、丁寧に、それでいてダイナミックに表現すべきであり、そうしてこそ、後半の「股間が硬くなった」にズボッとはまるのである。

「プルン」では、少なくとも私の股間は硬くはならないのだ。私の16.5センチ砲は、プルン程度ではピクリともしないのである。私の股間をなめるんじゃないっ。いや、美女ならなめてもいいが……つまりこの場合の「なめる」というのは舌を使ってなめるのではなく(以下略)。

さらに言わせていただくと、もうひとつ残念なのは、艦長が70歳とは思えないことだ。ここでも人間描写に甘さが感じられる。この作品の平均寿命の設定を知らないのだが、普通70歳というと完全に老人の域である。ブリッジで居眠りする描写はあったのだが、それも歳のせいというよりも、長時間に渡る激務のせいである。

単純に年寄りのボケとか老害的な描写もほしかった。まあ、それをやるとコミカルになりすぎて作風が変わってしまうので無理かもしれないが。

定価は1200円ちょい。うーん、値段を付けるとすると、870円といったところだろうか。ミリタリーSFが好きな人なら、「大損こいた~っ」ということはないはずである。

で、つい買ってしまったもう一冊なのだが、これは、もう、タイトルだけで買ってしまった。この手のタイトルは、ちょっと予想していなかった。オリジナリティ度、抜群。しかも、内容も同様らしい。読了したら、いずれ書こう。つづく

 

 

女王陛下の航宙艦 (ハヤカワ文庫SF) [ クリストファー・ナトール ]

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感想(2件)