だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

「JR信越線乗客430人立ち往生15時間閉じ込め」事件、この救いがたい公平主義。

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ニュースで見ているときは、「いやあ、大変やなあ」と甘酒を飲みながらのんきに見ていたのだが、列車の中に閉じ込められた人にとっては散々な体験だったろう。

JR信越線で起こった立ち往生である。

なんと運転再開まで15時間ほどがかかった。15時間というと、あなた、とんでもない時間である。NHKの朝ドラなら60回分見られる。カップヌードルなら、待っている間に300食つくれるのだ。

聞くところによるとトイレの紙もなくなったんだそうだ。私などは緊張すると下痢になる持病があるので、もう、そんな状況に陥ることが怖くて仕方がない。

紙で拭けないとなると、何で拭くのだ? 一回ならハンカチを使うにしても、私の下痢は連続性である。パンツを使い、シャツを使い、回りからポケットティッシュを恵んでもらい、最後には、もう、窓から尻を突き出して尻にこびりついたウンコを凍らすしかないのではないか。

車内に入れれば溶けてニオイが広がるので、そのまま寒風の中、尻を突き出していなければないらない。尻がしもやけである。まさに悪夢だ。

私が住んでいるところが、雪国でなくて本当によかった。

ただ、いくら雪が深いからと言って、どうしてバスを出したりできないんだと不思議に思っていた。ニュースで見る限りは、そんなに豪雪でもないように思えたのだ。

で、今日のネットの記事で読んだのだが、実は、乗客救助のためにバスを提供すると市側が申し入れていたんだそうだ。申し入れた以上は、バスによる救助は可能と判断したのだろう。ところが、JR東日本新潟支社が、その申し出を断っていた。

なぜなんだ?

誰でも疑問に思うだろう。

で、あなた。同支社の今井政人支社長の答えが実にばかげていた。いや、馬鹿とはっきり断言してもいいくらいだ。

「バスでは、乗客全員を一度に救助することは困難だと考えた」

いやいやいや、意味がわからない。一度に救助できないなら、5回でも10回でも分けて救助すればいいではないか。時間はかかるが、15時間閉じ込められるよりはましである。

そう言えば、以前、被災者に対して毛布など備品を配ろうとした役所が、「全員に行き渡らないと不公平になる」と取りやめたことがあった。確かに公平性は保てないかもしれない。だが、せっかくの備品を役立てないというのは、これは本末転倒である。

「皆さん、平等に苦しんでください」と言っているのと同じだ。おそらく役所の立場というものに常識的な判断が狂わされたのだろう。

今回の状況でも、「一度に乗客を救助するのは無理やな。先に助かりたいと混乱が生まれるかもしれん。なんでおれを後回しにした、とクレームを入れられても面倒やしな。やっぱり公平なんが一番や。よし、全員、閉じ込めといたろ」とでも考えたのだろう。

普通の精神状況なら、「バスを提供!? 助かります。すぐにお願いします」となるのだが、非常事態になるとまともに思考が働かない場合がある。

例えば、東日本大震災で「裏の山に逃げよう」「いや、崩れるかもしれない」と右往左往して、結局多くの生徒を死なせてしまった教員たちと同じだ。普通の精神状況なら、「地震だ。よし、高いところへ避難だ」というのが常識である。避難訓練を日頃からしていれば、その常識を発揮できて彼らは助かったかもしれない。

今井支社長は、「降雪状況を把握する監視カメラを増設するなどの再発防止策を講じる」とも言ったらしいのだが、なにをトンチンカンなことを言っているのだ。今回の問題は、雪に立ち往生したことではなく、立ち往生した後の対処にあるのだ。

監視カメラなどよりも、きっちりと対策マニュアルを作り、万一の際にうろたえないように、日頃から訓練をした方がいい。

どうやら今井支社長、まだうろたえたままのようである。落ち着け、と言いたい。