だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

荒木経惟さんが水原希子さんに文句を言われる。それにしても怪しからんのは資生堂である。

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いやあ、面白くない。

事件というのは、ギャップがあるから面白いのだ。例えば、これが美しい写真を撮ることで有名な一流カメラマンなら話は別である。「なに!? あんな神々しい写真を撮る人がセクハラですと。怪しからん!」となるのだが、アラーキーじゃなあ。

あんな助平な写真を撮る人に対して、いくら「女の性を道具扱いするな」と責めたって無駄である。納豆をかき混ぜて、「ネバネバするとは何事か。こんなの食えるか!」と怒っているのと同じだ。

また、モデルという職業自体が女性、あるいは男性の魅力を伝える職業である以上、性的なものがフィーチャーされるのは当然なのだ。「私の写真から性(わいせつ)を感じるとは怪しからん」と言い立てたって詮無い話なのである。

水原希子さんは、自分が体験した撮影の無理強いについてこう語っている。

「私も20代前半の頃ある企業の広告撮影で上半身裸になって手で胸を隠して撮影をする事があったんだけど、その時だけ何故か沢山の男の人、多分上層部であろう20人ぐらいの社員の人達がスタジオに来て、裸だから撮影中は見られたくないと伝えたけれども、写真を確認しなくてはならないからと言う理由で、結局、仕事だからと拒否できないんだよと言う理由で、沢山の男性に裸を見られる環境の中で撮影を強いられた事があった」

確かに、これはいけない。

アラーキーとしては、その場を仕切るカメラマンとして「最低必要な人以外は、退出してください」と言うべきなのだが、身内にそういう気配りができない人だったようだ。この点は残念である。

このケースで一番いけないのは、 助平心全開のスポンサーや代理店の連中であって、第一に責めるべきは彼らだろう。まったく彼らのサラリーマン的で小市民的な助平心ほど情けないものはない。盗撮や痴漢に通じる助平心である。

資生堂は反省しろ、と言いたい。その助平連中が資生堂の社員だとは断言できないが、少なくとも女性目線で商売している以上、ヌードがあるならスタッフは女性だけにするとかの女性モデルに配慮した環境を作るべきだろう。

ちなみに水原希子さんの発言のきっかけは、荒木経惟さんの事務所「ミューズ」のモデルとして所属していたKaoRiさんの告発にあるのだが、それを読むと、性的なものよりも、撮影の際に同意書がなかったことやヌードの強要、無報酬などの契約上の問題の方が大きいように感じられる。

カメラマンの世界はいまだに師弟関係があったりして、それがモデルにも影響している一面があるのではないか。ヌードの仕事が違法というわけではなく、このあたりはしっかりと契約書で明確化しておく必要はある。こうした契約上の問題と、性的弱者としての女性という問題を一緒くたにすると訳が分からなくなるので注意が必要だ。

実は、荒木経惟さんの写真集は何冊か持っている。「東京猫町」「センチメンタルな旅・冬の旅」「愛しのチロ」特に芸術的とも思わないのだが、たまにパラパラめくっているから魅力はあるのだろう。飾り気のない写真である。

荒木経惟さんは、現在77歳。まさか、そんな歳になってこういう告発を受けることになるとは思わなかったろう。ちょっと長く生きすぎたか、などと考えておられるかも知れない。

最後にこの告発を受けての資生堂の談話を紹介しよう。

「水原さんの所属事務所にも事実確認を依頼し、社内での調査も行いましたが、結果として、当社での広告撮影時に起きた出来事かどうかについては分かりませんでした」

いやあ、そりゃあ嘘だね。水原希子さんの発言が事実であるとすれば、資生堂の撮影時に起きたことは明白である。カメラマンが荒木経惟氏で手ブラの写真という条件に当てはまる仕事など、そうそうないはずだ。

文春の記者は、この件について徹底的に調べるべきである。広告代理店がらみで意外な人物が撮影現場に現れているのではないか。今頃「やべえ」と顔色が変わったオッサンが何人かいるはずだ。