だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

気持ちよく騙されたが、登場人物はみんな気持ち悪かった、ネタバレ上等「ソウル・ステーション・パンデミック」

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映画のレビュアーの中には、異様にネタバレを怖れる人がいるのだが、私などは「ネタバレどんと来い」派である。「ネタバレどんと来いってんだ、こんちくしょうめ」派であると言っても過言ではない。

そもそもネタバレで面白さが削がれるのなら、その映画は元々面白くないのである。猿が支配する惑星が実は地球だったとわかっていても、「猿の惑星(第一作)」は何度見ても面白いのだ。

まあ、小学生の頃初めて「猿の惑星」を見た時は、あの自由の女神像が現れる有名なシーンに、「えーっ、地球やったんか~っ」と驚愕して、テレビをつかんでゆさぶったほどだったのだが。映画は前知識なしに見た方がいいのは当然である。

だいたいやね、「これから見るつもりやったのに、このブログ、ネダバレやんけ。どうしてくれるんじゃー」などと怒る人がいれば、その人は頭がおかしいのだ。これから見るのなら、一般人のブログなど読まないことだ。当たり前のことではないか。本当に映画を楽しみたいのなら、予告編すら見ないことをおすすめする。

従ってこのブログでは、どんどんネタバレする。すでにその映画を見た人に向けたレビューなのだ。「この映画は面白いですよ。見た方がいいですよ」という良心的なブログとは違うのである。

だから、ネタバレがいやなら、すぐに立ち去ったほうがいい。「シックスセンス」のブルース・ウィリスは幽霊だし、「ミスト」では主人公が早合点して自分の息子を撃ち殺してしまうし、「エスター」の9歳の少女は、実は33歳のオバハンなのだ。どうだ、まいったか。

さて、韓国のアニメ「ソウル・ステーション・パンデミック」を見た。「新感染 ファイナル・エクスプレス」が結構面白かったので、ついでに見たのだ。まあ、元々ゾンビ映画は好きである。

ただ、このアニメ、なんかね、出てくる人物がクズっぽいのばかりである。家出して風俗で働いていた女の子が主人公で、その恋人で彼女に売春させている無職の若者。ホームレスは自分の兄が死にかけているのに救急車も呼ばないし、助けを求められた駅だかモールだかの職員は居丈高だし、唯一まともなのが主人公の女の父親で、必死で娘を探そうとしている。

このアニメで出てくるゾンビは、足が速いタイプである。この手のゾンビは、「ああ、もう追いつかれる。もう、ダメだ」というアクティブなハラハラ感は出せるのだが、ゆっくり歩くゾンビの悲哀とかユーモラスな一面とか、さらにそのゆっくり歩くゾンビに取り囲まれたときの絶望感だとかは出ない。

とにかく逃げるのに必死のパッチ状態が続くのである。最初、主人公の女性をリードするのがホームレスのオッサンだ。女の子が「家に帰りたい」などと泣くのに対して、「わしも帰りたいが家がない」などとしょげかえる。なかなか厳しい人生を送っている人なのだ。

途中、ケータイで恋人と連絡がつくのであるが、ここでちょっと疑問が生じた。「お父さんと一緒だ。迎えに行く」と恋人が言っているのに、なぜか「お父さんに代わって」とは言わず、お父さんも「わしと代われ」とも言わないのだ。その後、何度かケータイが通じるのだが、一度も父と娘は会話しない。

本来なら、この時点で「あ、なるへそ」とオチに気付くはずなのだが、私はアホなので気付かなかった。と言うか、そういう疑問をスルーするのが映画を楽しむコツなのである。

警察も随分とクズに描かれていて、ある一角に生存者を封じ込め、脱出できないようにしている。バリケードを乗り越えようとすると放水して落としたり、最後には射殺したりするのだ。この監督、随分と役人や警察、目上の人間に恨みがあるようだ。ひどい描かれ方である。

そんな中、イケメンでスポーツマンタイプの若者が、なんとか逃げだそうと電線につかまって隣のビルに逃げ込むのだが、後を追った主人公が落ちそうになる。イケメンはそれを助けようとしてゾンビに足を捕まれて落ちて、ギャーなどと悲鳴を上げながら死ぬのであるが、言うまでもなく、「この映画で一番可哀想だった」賞を受賞した。

さて、いよいよこの映画最大のネタバレである。

ついに数々の危機を乗り越えて恋人と父親は女の子と出会うのであるが、女の子が「え!?」となる。「あれ、お父さんじゃないよ」

これまで父親だとばかり思っていたオッサンが、「このボケー、わしの金を持ち逃げしやがって。なにさらしとんじゃー」と怒鳴りだした。実は、父親ではなく、彼女が働いていた風俗店の店長なのだ。

女の子も私も「ガーン」である。唯一まともだと思っていた父親が、実は風俗店の店長。しかも、このオッサン、本当の父親のところに「お前の娘が金持ち逃げしたんじゃ。お前が金を返さんかいっ」と脅しに行っているのだ。

「で、期日までに返しよらへんから、もういっぺん家まで行ったら、もぬけの殻じゃ。あいつは逃げよったんじゃ。お前は、父親に捨てられたんじゃ」

本当の父親までクズだったわけで、いやあ、女の子は可愛そうなんだけど、まあ、あまり同情できないというか、ちょっと自業自得だなと思ったわけです。家出したということは自分がまず父親を捨てたわけで、まあ、捨て返されたということですな。仕方ありません。

で、あとは予定調和です。

自分の恋人に体を売らせていたクズの兄ちゃんは、クズの風俗店の店長に喉を包丁で切られて死亡。その店長は、女の子をレイプしようとするのだが、実はすでにゾンビ菌に感染していた女の子に食われて死亡。おそらく女の子の父親も、どこかで死んでいるのでしょう。

いやあ、なんか人間の負の部分を見せつけられたようでちょっと気が滅入るのだが、アメリカで量産されている脳天気なC級ゾンビ映画よりかはマシである。何より、ゾンビに対して真面目に取り組んでいるのは評価できる。

アメリカの低予算で作られるジョークのようなゾンビ映画は、私のようにゾンビ大好き人間からすると、ゾンビに対する冒涜であり、ゾンビという文化の衰退につながると危惧するのである(嘘)。