だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

くら寿司のバカッター2名についての処分文書を読んで、「いや、まず社員教育ができていないお前が反省しろよ」と思った。

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いやあ、くら寿司が大変だ。

元々、「無添イカサマ」と言われたことに対する訴訟問題(結局敗訴)やいじめとも思える内定者研修など、いろいろ問題のあるくら寿司だが、今回、バカッター従業員のせいで、ますますその異常さというか、世間とのズレが明らかになってしまった。

くら寿司は、Twitterによる炎上を受けて、そのアルバイト従業員に対する処分を発表したのだが、その文書が実にずるい。「すべてアルバイト店員が悪いんですわ」という内容になっている。

▼2月8日をもって雇用契約を終了し、退職処分としたと同時に、刑事、民事での法的処置の準備に入ったことをご報告いたします。
▼理由
1.このような状況の中、ご来店いただき温かいお言葉をかけてくださるお客様、株主様、お引取先様に対し上場企業としての責任を果たし、全国で共に働く約33,000人の従業員の信用回復の為。
2.多発する飲食店での不適切行動とその様子を撮影したSNSの投稿に対し、当社が一石を投じ、全国で起こる同様の事件の再発防止につなげ、抑止力とする為。

もうね、アホですかと言いたくなる内容である。

例え処分に関する文書であっても、まず言うべきは、「きちんと教育のできていない社員を現場に出したことに対して、心よりお詫びいたします」でしょうが。「お詫びの文書はもう出したから、ええんとちゃうの」とでも思っているのか。

さらにこの文書、被害者意識全開である。くら寿司は、言うまでもなく加害者側なのだ。

何が「ご来店いただき温かいお言葉をかけてくださるお客様」だ。そんなもん、全体の1%もおらへんわい。何が「33,000人の従業員」じゃ。その従業員の生活がかかっとるから、ウチを責めるなとでも言うとんかっ。何が「当社が一石を投じ」じゃ。何が「抑止力とする」じゃ。その正義の味方面はなんなんじゃーっ。

もうね、腹が立って腹が立って血圧が400である。調子の悪いウルトラセブンと同じ数値なのだ。死んだらどう責任取ってくれるんですかーっと慰謝料を請求したいほどである。

この手の文書を誰が作っているのか知らないが、自己保身の意識が透けて見えて、不快感を煽るような文面になっている。この前に出した「お詫びの文書」もそうだし、出せば出すほど反感を買っているのだ。もう少し、嘘でもいいから「真摯な姿勢」とやらが感じられる文章が書ける人にお願いした方がいいのではないか。私だったら安くで書くがいかがか? 今ならどーんと3割引だ。

さて、この文書を見た時点で、私は、バカッター高校生に対しての怒りはなくなった。もちろん、やったことは馬鹿の極みだし、これから先、そのせいで苦しむことになるだろうが、何しろ高校生だ。はっきり言って、高校生の多くは馬鹿である。私だって馬鹿だった。正直、大学生時代の私も、まだまだ馬鹿だったのだ。もしかしたら、ジジイになった今も馬鹿である可能性は高い。

従って、いくら社員教育をしたって、バカッターはなくならない。ましてやいろいろ問題がありブラック企業などと言われているくら寿司が、「全店舗勉強会」をやろうが、社員教育を徹底しようが無駄なのだ。盗撮をしているオッサンに、「チカンはダメだよ」と言われても、説得力がないのと同じである。説得力のある社員教育ができるようになるには、かなりの組織改革、意識改革が必要だろう。

で、くら寿司の「信頼回復に向けた取り組みについて」という短い動画を見たのだが、これでは無理だろう。スマホを持ち込ませないためのチェックなど、「誰がチェックするか」でザルになるだろうし、SNSには流さないけど「スープにつばを入れたろ」とか「食材のブリに肛門押し付けたろ」などという不届き者が現れるかもしれない。SNSで拡散されなければいいという問題ではないのだ。また、本部カメラシステムによる確認なども、カメラのある位置がわかっているなら無駄なことだ。

いちばん重要なことは、そもそもこんな対策では職業倫理は生まれないということだ。現場の意識を変えるためには、本部の自分たちがどう変わるべきかを考え、実行していかなければならないのである。

現状、手っ取り早くできる対策は、ただひとつだ。安易に高校生や大学生を雇うな。これだけである。

彼らの多くは、もしくは彼らの一部は、職業倫理を説いても無理なのだ。私自身、学生時代にバイト先でどれだけ職業倫理に欠ける行為をしたかと考えると、正直、穴があったら突っ込みたい心境である。

もし、飲食業に就いていたらと思うとゾッとする。飲食業は、死に直結するような業種ではないが、とてつもない倫理観を必要とする業種なのだ。そもそも滑舌の悪い私には、「いらっしゃいませ」のひと言すらきちんと言えないのだ。

書いているうちに、ちょっと意識が変わってきた。北大路欣也さんとすれ違ったら、「お疲れ様です」と声をかけようかと思う。