だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

渾身のオヤジギャグがすべった犯罪捜査官がとても悲しかった、アイスランドのミステリ映画「湿地」

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「湿地」という映画を見た。もうすっかり人気が定着した北欧ミステリー作品の映画化である。

まず、原作について語ると、著者の名前が覚えにくい。この作品を含め、私はすでに4作読んでいるのだが、おそらく私はこの著者名を一生覚えられないままだろう。著者は、アーナルデュル・インドリダソンという。覚えにくいだけではなく、言いにくいのだ。「滑舌の悪い私への嫌がらせですかーっ」と怒り心頭である。

で、主人公の捜査官がエーレンデュル。その同僚がエーリンボルクとシグルデュル。こんなの覚えられるわけがない。なぜ、もっと覚えやすい名前を付けてくれないのか。「ただでさえ名前が覚えられない私に対する嫌がらせですかーっ」と文句を言いたいのである。

作品的には、あとのものになるほど面白いのではないか。4作目の「湖の男」はアイスランドの歴史なども絡めて、非常に印象的だった。

さて、アイスランドという国には行ったことがないのだが、映画で見ると暗く寒々しいイメージなのだ。天気は薄曇りで空は灰色、草木も鮮やかさに欠け、人々もドヨーンとしている。

まあ、殺人が絡むミステリー映画なのだから仕方がないのだが、その死体も下水の中に長期間浸かってものすごい臭いを発していたりする。脳天気で陽気なアメリカ映画の死体と違って、アイスランドの死体は実に陰気なのだ。

しかも、主人公の娘はヤク中でろくでもない男たちと雑魚寝するような不良であり、いや親に反抗するような不良ならまだいいのだが、ただ流されてるだけの不良という救いのない状況だ。

さらにレイプやら遺伝による病気などがテーマだから、明るくなるわけがないのである。ドヨーンとしたい方には、ぜひ、おすすめしたい。

一番、印象的だったシーンを紹介しよう。

アイスランドにもドライブスルーがあるようで、主人公も利用している。「いつもの?」と女の子がたずねると、「ああ、羊の頭をくれ」と言う。本当はビッグマックとかなんだろうが、若い女の子の気を引きたくて、つい言ってしまったんだろう。私は、「なんだよ、このオヤジギャグは」と憤慨したのである。これだから、オヤジは嫌いなんだ。日本でもアイスランドでもオヤジギャグはレベルが低いな。

で、家に帰ってから主人公が食事をするのだが、あなた、驚いたことにそれは本当に「羊の頭」なのだ。主人公はナイフを使ってその目玉をえぐり、ジュルジュルとうまそうに食うのである。

調べてみるとスヴィズという名前らしいのだが、アイスランドでは一般的な料理のようだ。まあ、ドライブスルーで売ってるんだから、いたって普通の食べ物なのだろう。

ちなみに目玉や頬、舌などもうまいんだそうで、日本で言えばマグロの頭を食べるのと似たようなものか。

羊の頭をドライブスルーで売っているわけがないと思い込み、早合点して主人公を馬鹿にしたことを私は反省した。

今度、監督さんと会うことがあったら謝っておこうとネットで調べてみたら、バルタザール・コルマウクルという非常にややこしい名前で、「名前を覚えられない私を馬鹿にするですかーっ」とまた吠えた。

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