だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

パンツと巨乳を求めて迷路を行く、ダンジョントラベラーズ2

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ご存知か?

昔の、パソコンゲームはしょぼかった。例えば、ダンジョン探求型のゲームで有名な「ウィザードリィ」である。 グラフィックは、真っ黒の画面に、白い直線だけで建物内の廊下や扉らしきものが描かれている。味も素っ気もないのだ。

突然、気の抜けたような電子音とともに、画面に小さなイラストがあらわれる。敵だ!

私は、キーボードを使って、自分のチームに命令を与える。私が作り出し、育て上げた戦士や魔法使いである。

よし、サムライの花子さんは、敵の戦士をやっつけてくれ。魔法使いの純子さんは、火の玉で相手の僧侶をたのむ。盗賊の恵子さんは、とりあえず防御していてくれ。前に飛び出すんじゃないぞ。

などとつぶやきながら、敵と戦う。見た目はしょぼいが、私は真剣である。

あーっ、何をしている。花子さんがやられた。そんなスカートをはいてるから、パンツが丸見えじゃないか。ちゃんとヨロイをつけておけと言っただろうが。純子さんも呪文をとなえるときに、カラダをゆすりすぎだ。巨乳がゆれてるじゃないか。けしからんっ。

実際には、「花子は6のダメージ」とかの文字が出ているだけである。だが、それでは面白くないので、脳内で映像を作り出しているわけだ。 思えば、バカなことに時間をついやしたものである。

で、今はもうそんなバカなことに時間をついやしていないかというと、やっぱり、まだまだ費やしているのだ。いや、ますます費やしていると言っても過言ではない。

人間、たかが数十年で進化はしないのだ。

ある日、「ダンジョントラベラーズ2が面白い」とネットに書かれているのを見た。知らないゲームである。少々エロいゲームのようで、店舗で買うのはためらわれるが、今はAmazonがある。さっそく取り寄せたのだ。

ワクワクしながらスイッチを入れる。

久しぶりに、私の類まれなる想像力を解き放つときがきた。今回は、花子さんに黒のパンツをはかせてやろう。純子さんは、巨乳から爆乳にバージョンアップだ。新たなキャラクターとして雪子さんも作ってやろう。当然、雪子さんのパンツはシースルーである。

そしたら、あなた。

主人公の男がチームリーダーになり、メンバーもあらかじめ決められているゲームだった。しかも、その全員が女の子なのだ。ウィザードリィでは、顔も見られなかったのが、このゲームでは総天然色で描かれている。声まで出るのである。

さらに、敵のモンスターまで女の子で、きわどい下着姿だったり、巨乳だったり、これでは、私の想像力を発揮する場面などどこにもない。私が妄想するまでもなく、パンツが見えているのである。

これが進化というものか。

私は、一抹のさびしさを感じながらゲームを続けた。私は、かつてのゲームの良さを否定したくはなかった。見た目のチープさがゆえに、シナリオと戦闘に没頭できたことは否定できない。あの凝縮された時間は、もう消えてしまったのか。

美しいグラフィックの中、冒険は進む。これは、RPGにおける進化なのか。いや、これは断じて進化などではない。ゲームと人の関わりに置いて、これは退化と言うべきであろう。想像力を駆使して楽しむあの時代のゲームこそが……。

おっ、またパンツが見えた。

夢のようじゃないか、と私は思わずつぶやいた。