だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

中日ドラゴンズの選手は、実は乙女集団だった。応援歌の「お前」に傷つく。

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言葉というものはむずかしい。

私などは、大雑把に言うとすでに100年近く文章を書きつづけているが、いまだに満足のいく文章が書けたことは一度もない。ついウンコだチンポだと、安易な言葉を使ってしまうのである。

今の時代、特にむずかしいのは、社会の変化による言葉の意味合いの変化である。

例えば、「女々しい」とか「女の腐ったような」という表現が昔はよく聞かれたのだが、今は、女性蔑視につながるとして使われることはない。書いた途端に辻元清美が「差別語の百貨店や」と気持ちの悪い大阪弁でまくし立てるのだ。あわてて逃げようとすると、後ろには福島瑞穂が仁王立ちしている。

「前には化け物、後ろには馬鹿者か」という名セリフがあったが、あれはなんのドラマだったか。まあ、そんなことはどうでもいい。

さて、今日は中日ドラゴンズの話である。中日の選手というと板東英二松坂大輔くらいしか知らないのだが、今は与田という人が監督をやっているらしい。

その監督が「応援歌の中のセリフに『お前が打たなきゃ誰が打つ!』ちゅうのがあるんやけど、『お前』という言葉はあかんのとちゃうの? 選手を“お前よばわり”は、これは子供への教育上も悪いでっせ。やめてんか」と発言した。

当然、賛否両論、いやその多くは「はあ!? なに言うとんねん。こいつら乙女か」という意見である。私もそう思った。いくら何でも過剰反応だ。こんなイチャモン、辻元清美でも思いつかないだろう。

そもそもプロ野球の選手というのは、日本のプロスポーツの頂点に位置する存在である。心身共に強靱。社会的には明らかに強者であり、勝ち組なのである。

それが、あなた。

「私のことを、お前なんて呼ばないでちょうだい。不愉快だわ。ヽ(`Д´)ノプンプン」である。

与田監督がどんな人かは知らないが、ああいう発言をすることで世間がどういう反応をするか、そんなことすらわからなかったのか。それは、あまりにも常識を知らなさすぎる。私としては、いい歳こいたオッサンが、そんな言葉尻を捉えてウジウジ文句言ってんじゃねえよ、と言いたい。

で、ワイドショーなどに取り上げられて騒動になると、「いやあ、ちょっと変な方向に行ってまんな。別に応援歌を自粛して欲しいわけとちゃいまんねん。“辞めろ”とは一言も言ってまへんでぇ。わてら、応援団の方々をリスペクトしてるんですわ。シンプルに名前で呼んで欲しいだけですがな。そんなに騒ぎなはんなや」と言い訳する。

そもそも名前を呼んで欲しいと言うが、お前がダメなら、当然呼び捨てだってダメだろう。子供の教育上よろしくないのは明白である。だったら、さん付けがいいのか? それとも様がいいのか? 言葉にこだわるのなら、そこまではっきり決めやがれ、と言いたいのである。

私は、野球観戦には興味がないのだが、こんな発言をしたら、対戦相手のファンから「お前って呼ばないで~」とか「あなた様が打たなきゃ誰が打つ!」とか茶化されるのではないか。実戦以外の部分で野次られるのは、これは選手もやりにくいだろう。

選手の集中力を削ぐような発言は、監督たるもの控えた方がいい。特に今回の場合は、言わば外野の出来事であり、こんなことに労力を使うのはバカバカしい。なぜ、球団の広報部に任せなかったのか不思議で仕方がない。

例え取材されても「それは球団側に任せてますから」と答えておけばよかったのだ。与田監督、痛恨のエラーである。9回裏逆転満塁サヨナラエラーと言っても過言ではない。