今日は、アンソニー・ホロヴィッツの「モリアーティ」という本を読んだ。
モリアーティというのは、名探偵シャーロック・ホームズの宿敵として描かれた登場人物である。天才的な頭脳で事件を解決するホームズに対し、同様に天才的な犯罪者であり、明智小五郎と怪人二十面相、ルパン三世と銭形警部と言えばわかりやすいか。最近の例で言えば、安倍総理と辻元清美といった関係である。
もともとはコナン・ドイル(1930年没)が書いたホームズなのだが、時代を超えて人気があり、新しい作者による新しい作品も出ている。私が前に読んだのは、93歳になったホームズを描いた「ミスター・ホームズ」である。これは、ミステリーと言うよりも文学だった。
今日読んだ「モリアーティ」は、当時のホームズを彷彿とさせる冒険活劇ミステリーとなっている。主人公は、アメリカのピンカートン社に務める捜査員で、もう一人の主役は、かつてホームズと捜査をともにしたことのあるスコットランド・ヤードのジョーンズ警部だ。
物語は、ライヘンバッハの滝でホームズとモリアーティが死んだ場面からはじまる。私には悪い癖があって、「死んだ」と書いてあれば、「実は生きている」と読んでしまい、「では、誰がその死んだはずの人間なのか」と考えてしまう。
結局、考えてしまった案の一つが正解であり、ちょっとガッカリした。一番驚かせるどんでん返しではあるのだが、それだけに思いつく可能性は高い。しかも、ちょっと後味の悪いどんでん返しなのだ。
スコットランド・ヤードのジョーンズ警部、ワトソンの書いた冒険譚の中で愚鈍な警察官として描かれ、その後、ホームズの捜査術を必死で学んでスキルアップしたものの、一番重要なポイントを見逃してしまい、気の毒な結末を迎える。ちょっとというか、かなりかわいそうである。
真面目で人のいいキャラクターであるだけに、この結末はつらい。
作者のアンソニー・ホロヴィッツという人。意地の悪い人なのではないか。