以前、橋下徹さんから「頭の悪い知事」と言われた新潟県の米山隆一さんだが、私としては、自分の思いがちょっと歪な形で出てしまう人という印象である。単なる推測だが、自分の頭の良さに振り回されているのではないか。
評論家の石平さんがTwitterに投稿した、東京新聞の望月衣塑子記者への批判に対して、新潟県の米山隆一知事が「吐き気を催すほど醜悪」などと批判した。
まず、これが石平さんのツイートだ。
「『それでも私は権力と戦う』という東京新聞望月記者の台詞を鼻で笑った。私は今まで、本物の独裁政権と戦った勇士を数多く見たが、彼女のやっていることは、何のリスクもない民主主義国家で意地悪質問で政府の記者会見を妨害するだけだ。そんなのを『権力と戦う』とは、吐き気を催すほどの自惚れだ!」
そして、それに対する米山知事のツイート。
「適不適の判断はさておき、いずれにせよ望月記者は自国の政府に対し直接対峙している。一方石平氏は今や、祖国を離れ、独裁政権と批判する中国政府と直接対峙することなく日本人向けに中国政府批判を展開しているに過ぎない。闘う望月記者の歌を闘わない石平氏が笑う事は吐き気を催すほど醜悪だと思う」
ああ、これはいけません。
自分の言葉にちょっと酔ってるのではないか。
石平さんのツイートからは怒りを感じるが、米山知事のツイートからは「オレ、論理的で詩的でカッケー」という自惚れが私には見える。米山知事、顔は不細工系なのに、かなりのナルシストなのだ。私も同様のタイプだから、よくわかるのである。まあ、私は米山知事よりも不細工だし、なによりはげているのだが、心の中では松田優作なのだ。筋金入りのナルシストである。
米山知事は、もしかすると橋下さんがTwitterを駆使していたのを真似ているのかもしれないが、あれは橋下さんのTwitterに向いた頭の良さがあるから可能だったのだ。米山知事では無理である。IQでは、米山知事の方が上かも知れないが、橋下さんは、テレビで鍛えられたコミュニケーション能力がある。
ちなみに米山知事のツイートに対して、石平さんはこう返している。
「彼(米山知事)は意図的に、人権侵害を平気で行う中国の独裁政権と、民主主義の手続きで選ばれた日本政府と混同している。この本質の差を無視して一方的に私を攻撃するとは、公人としては不見識であり、卑劣でさえある」
その通りだ。これが本当に頭がいい人の文章なのだと思える出来である。
なお米山知事のツイートは、この人特有のわかりづらさがある。文字数制限があるTwitterなのに無駄な言葉も多い。
「適不適の判断はさておき(さておくなら、この言葉は不要)」とか「いずれにせよ(これも不要)」などの無駄な言葉のほか、大げさすぎる「直接対峙(単なる記者会見の場の質問であり対峙というほどのものではない)」とか「闘う望月記者の歌(ポエマー、恥ずかしい)」なども橋下さんが言う「頭の悪さ」がにじみ出ている言葉だ。
だから、どうにも意味が伝わりにくい。言っていることはわかるのだが、本質が見えにくいのだ。
こんな場合には、頭に「早い話が」とつけて要約すればいい。コピーライター仲畑貴志さんのノウハウである。皆さんも、試してみるといい。
米山知事が言っているのは、早い話が「自分の国から逃げてきた中国人は黙ってろ。日本の戦う記者の行動に、いちいち口を出すな」と言っているのである。「お前は、中国政府の批判だけしてればいいのだ」と言っているのである。
米山知事のツイートは、ネットの住人からは「言論弾圧だ」「石平氏に謝れ」「何の関係もない記者が批判されて、なぜ、ここまで逆上する。不倫してるのか?」「いや、これから接近して不倫するつもりなんだ」「このゲスが」「ポンポコピー」などとコメントが殺到しているのである。
まあ、米山知事もそんなに心配することはない。
橋下さんのようなTwitter使いになるのは、頭が良すぎて難しいだろうが、新潟県知事くらいなら十分以上にやっていけるだろうし、しっかりと任期をまっとうできるはずである。