希望の党の小池百合子さんは、頭がいいせいか、それとも頭がいいと見せたいせいか、横文字がよく出てくる。
「日本をリセットする」というのは、まあ、意味的にはわかる。内容的には、首をかしげるのだが、使っても問題ないだろう。ただ、爺さん婆さんはわからないのではないか。訳すと、「日本をご破算にする」だろうか?
「アウフヘーベン」は、駄目だろうね。私もさっぱり意味がわからない。小池百合子さんは、こう言っている。
「ここでまた『アウフヘーベン』という言葉を使っちゃうと、何か思い出されるかもしれませんけれども、国民のニーズというのは、メディアの方々がひかれたレールの延長線上にはないように思います」
文脈の中で語っても、さっぱりわからないのだ。
どうやら、「アウフヘーベン」とは、矛盾する2つの要素が混じり合うことで、さらに高度な意味を持つということらしい。例えば、読売巨人軍と阪神タイガースが一つに融合し、読売阪神ジャイガーズという新しいチームになることだろうか? だが、それではファンが霧散してしまうだろうし、たぶん違うな。読売巨人軍とヤクルトスワローズなら(以下略)。
「アウフヘーベン」とは、日本語で言うと「脱構築」や「大文字の他者」というのらしいが、日本語でもさっぱりわからない。高みにいる人だけが理解できる言葉なのだろう。普通の人が使うと、たぶん浮いてしまうから使わないほうがいいと思う。
「ワイズ・スペンディング」も聞きなれない言葉だ。
「今、国家予算は約100兆円規模であります。そのうちの1%に終期、終わりを迎えて、もう一度本当に予算がいるのかいらないのか、これをワイズスペンディングに変えていきましょうと。そのことをやれば、100兆円のうちの1%、つまり1兆円はすぐに出てくる。そのことを私は東京で立証済みだということでございます」
小池百合子さんは、こう言っているのだが、聞きなれない言葉が一つ入っているせいで、他の文章も難度が増してしまっている。
「ワイズ・スペンディング」とは、「賢い支出」という意味だそうで、だったら「賢い支出に変えていきましょう」でいいではないかと思う。もちろんそれでは当たり前すぎて、言葉として素通りされてしまうのだが、意味的に素通りされるような内容なのだから仕方がないではないか。
聞きなれない言葉を使って、さぞ意味ありげに見せかけるのは詐欺である。
まあ、政治家とは詐欺師のようなものであると言われれば、それまでなんだが。