一寸先は闇、無常の風は時を選ばず、わかりにくく英語で言うとNobody know the futureである。民進党の議員たちは、今まさにそれを実感しているだろう。
政策と信念を捻じ曲げて、なんとか希望の党に入れてもらえた。「やれ、嬉しや。人気絶頂の小池さんに付いていけば、議員の座は安泰だ」などと喜び、中には「もう政権交代になっちゃうから安倍晋三首相は土壇場で衆院解散をやめるんじゃないの?」などとはしゃぐ人もいたらしい。
ところが、小池さんの「排除」発言がダメージになったのか、中身は民進党だとバレて嫌気を生んだのか、希望の党は失速。小池さんも参院選に出馬することはなかった。
今のところ株を上げたのは、立憲民主党を立ち上げた枝野幸男さんだけなのだが、勘違いしてはいけない。民進党が希望の党と合流するのにも賛成していたではないか。枝野さんは、単に希望の党に入れてもらえなかったから新党を立ち上げただけだ。別に男気があってそうしたわけではない。
街頭演説でも、北朝鮮の危機が目前に迫っている以上、安全保障について触れるのはまずいと思ったのだろう。当たり障りのない内容に終始した。それでも野党かという体たらくである。
おそらく枝野さんの本音は、「あれぇ、なんかずいぶんと持ち上げられているぞ。いやあ、そんなつもりはなかったんだがなあ。ま、いいか」である。元々、そういう顔をしているではないか。
つくづく思うのだが、政治はショーである。
アメリカの大統領選挙などは完全にショーであって、プロレスに近い。アメリカ人は能天気で馬鹿で無神経で嫌いなのだが、ああいうショーの楽しみ方は上手た。韓国の選挙も熱狂的だが、あれはショーではなくて宗教である。気持ちが悪いのだ。
今回の小池さんや前原さん、そして枝野さんによるショーは、そこそこいい出来だったと思う。議員たちの右往左往は、それぞれが必死であるだけに悲劇であり喜劇でもあった。
そして、最後に笑うのは安倍さんなのだろう。
「ホンマにプロレスやんけ。与党も野党も、みんながグルの八百長やろ」と私は確信したのである。