私は、楽しむのが下手な人間である。
脳天気でがさつなアメリカ人を軽蔑しているが、それでも、彼らがスポーツ観戦を楽しむ様はうらやましく思う。最近は日本人もそこそこ楽しむ人が増えているようだが、まだ照れのようなものが感じられる。やはり、脳天気でないとああはいかないのだ。
思えば、味気ない人生である。
先ほども羽生選手が金メダル、宇野選手が銀とこれ以上ないほどの結果を見たというのに、「やった」とか「よし」とか「万歳」とかの声も出ず、ただ、ホットカーペットの上でぬくぬくしていただけなのだ。せめて「おっ」くらい言えよと思う。
ただ、喜んでいる日本人を見ても苦々しくは思わない。喜びを素直に出せることをうらやましく思うだけである。
さて、江川紹子さんというジャーナリストがいるのだが、確かオウム真理教の事件でテレビに出たりした人だと思う。その彼女のツイートが炎上したらしい。
見てみると、こんなツイートだった。
たまにこういう人はいる。
日本人が金メダルを取ったことよりも、それに浮き立つ日本人に腹が立つ人である。自分は冷静で、「愚かな日本人にしっかり言ってやらなきゃ」とお節介をしたくなるのだろう。自意識過剰。ちょっと厨二病的である。
私が不思議に思ったのは、「羽生選手が金メダルだ。日本人はやっぱりすごい」などとテレビで誰かが言ったという点だ。それを江川さんが聞きつけ、「異議あり」とツイートしたという展開である。
えーーーっ、さすがにそんなこと言うやつおらへんやろ。
スゴイのは選手であることはわかりきっているし、頑張ってきたのも選手である。「羽生選手はスゴイ。羽生選手は日本人である。ゆえに日本人はスゴイ」という発想の発言をテレビの人がするとは、とても思えないのだ。
やっぱり江川紹子さん、沸き立つ日本人に腹が立ったのかな? 腹立ちまぎれに、つい「テレビの人」などとねつ造してしまったのだろうか?
まあ、私も隣の住人が「阪神勝った。巨人に勝った」などと喜ぶ声を聞くと、「たかが野球でなにを喜んでいるのだ。阪神が勝っても、お前に金が入るわけでもなかろうに」などと憎まれ口を叩くのだが。
江川さんも私も、もう少し素直になった方がいいようだ。金メダルに歓喜する日本人をいちいち貶めるような発言をしたり、政治を絡めて皮肉を言ったりするのはサヨク系の人の悪い癖である。
私も誰かがまた金メダルを取ったら、せめて「よし」くらいは頑張って口にしたいと思う。