君は、見たかね?
私は、見た。
映画「カメラを止めるな」のことである。ついこの間、話題になっていたと思うのだが、それがもうテレビで放映されたのである。何という太っ腹か。スポンサーがどこだったか忘れたが、ありがたいことである。
私には、この映画の前知識がほとんどなかった。知っていたのは、ゾンビ映画の撮影をしている現場で本物のゾンビが現れる、ということだけだ。どうにもありふれたアイデアであり、正直、あまり期待はしていなかった。ただし、タイトルはいい。オリジナリティもあるし、勢いも感じる。あとは、中身がそれに見合っているかだ。
で、実際に見てみると、やっぱりゾンビ映画の撮影中に本物のゾンビが現れる映画だった。しかも、演技がわざとらしいし、時折、変な間がある。
うーん、あまりにも変すぎるよな。と私は疑問に思った。こういう場合は、なにか理由があって、わざと変にしていると考えたほうがいい。早合点して偉そうなことを言うと、「やーい、勘違いしよった~」などと笑われることになるのだ。
そんなことを考えているうちに、エンドロールがはじまった。えっ、もう終わりなのか? そんなバカな。時計を見るとまだ終わる時間ではない。なるほど、本編はここからかと私は納得したのである。
ネタをばらすと、この映画は、「ゾンビ映画の撮影をしている途中に本物のソンビが現れる映画」ではなく、「ゾンビ映画の撮影をしている途中に本物のゾンビが現れるという映画を撮っていたら、見えないところで録音マン役の人がウンコをしていた映画」なのである。
キーになるのは、ノーカット生中継ドラマという設定であり、それを完遂するために、スタッフやら俳優やらが、あっちに行ったりこっちに行ったり、カメラに映らない場所で四苦八苦して、もんどり打って、頭をぶつけてひっくり返って、腹を壊してウンコをする映画なのである。
どうだ、わかったかね?
身も蓋もない言い方をすると、前半はノーカット生中継ドラマが流され、後半は、その種明かしという展開なのだ。ああ、あのシーンの不自然な演技は、こういうことだったのか。という謎解きがこの映画の見所なのである。
ちなみに、邦画では、若い女優の演技にイライラさせられることが多いのだが、この映画はそんなことはなかった。演技もストーリーもきちんとした映画である。
私が点数をつけるとすると、78点。面白い顔のおばさんが結構うまくハマっていたので、プラス4点で82点。さらに脱糞シーンがあるので、プラス8点。なんと90点という高得点である。
ほんまかいな。