やあ、諸君。穴が開いた靴下をはいているかね?
私は、時々はいている。もちろん、知らずに、だ。
穴の開いた靴下と骨の折れた傘ほど情けないものはない。知っていて情けない格好ができるほど、私は、強い人間ではない。いつの間にか、かかとの上の部分に穴が開いていることが多いのだ。
原因はわかっている。
私は、何でも長持ちする家系の生まれなのだが、私の場合、靴だけは長持ちしない。靴のかかとの上の部分がすり減って、中の硬い部分がむき出しになり靴下とすれてしまうのである。歩き方がおかしいのか、肉体的に問題があるのか、それとも何かの呪いでもかかっているのか、いろいろ試行錯誤したが、いまだに改善しない。
よく、靴はいいのをはけ、などと言うが、いい靴をはいてもすぐにダメになるのだ。ニューバランスの15,000円くらいするシューズを買って、2ヶ月もしないうちに内側がボロボロになることほど無念なことはない。
金持ちならそれもいいのだろうが、私は、はっきり言って貧乏である。次から次に靴を買うなど無理である。だからと言って、靴下が次々に破れてしまうのも黙認できないのだ。
だから、最近、安い靴を買うようになった。
ニューバランスの直営店には、もう行かないのだ。あそこへ行くと、店員に対して見栄を張ってしまい、つい高いのを買ってしまう。「ああ、店で一番高いのはどれかな?」つくづくつまらん男である。
で、最近、近所のショッピングモールに行ったら、GUという店があった。今まで入ったことがなかったのだが、チラッとのぞくと靴も売っているようだ。
入ってみたら、あなた。
1,440円とか1,990円の靴が置いてあるのである。いやあ、びっくりした。思わずキャンバススニーカーとスポーツソックススニーカーというのを買ってしまった。
キャンパススニーカーは値段の割にしっかりした、いたって普通のスニーカーなのだが、スポーツソックススニーカーがちょっと面白い。ニット素材でくるぶしをソックスのように包み込む靴なのだ。
履き心地がソフトで、靴擦れの心配もない。軽いし、不安定さもなく、2時間ほどウォーキングに使ってみたのだが、非常に快適である。
ニット素材だから、風通しも良い。自転車に乗るとスースーするのである。蒸れも少ないだろうし、夏などは特にいいのではないか。
問題は、耐久性である。ニットだからそのうちビローンなどと伸びてしまうのだろうか。もしかすると穴が開くかも知れない。まあ、私が選んだのは黒だから、黒の靴下をはいておけば穴があっても目立たないだろう。
これまで廃棄処分になった靴たちが次々に頭に浮かぶ。底の部分がまだ全然減っていないのに、廃棄されてしまった靴たちだ。さぞや無念であったことだろう。
この靴は3年、いや5年ははいてやるぞ、と私は心に誓った。