私も最初は驚いた。
老後に2,000万円が必要だという話題である。
言うまでもなく、私には2,000万円という貯蓄はない。「えーっ、そしたらワシは野垂れ死にか!?」などと、どこかの河川敷で朽ち果てる自分の死がいを想像し、虚空を見つめる目玉をカラスがついばんでいる光景が目に浮かび、「ああ、こんなことなら生まれてこなきゃあ良かった」などと後悔したのである。
だが、あなた。2,000万円をクリアしている人など、少数なのではないか。そこそこ大きな家に住んでいる近所のクソジジイだって、「そんな金、あるかいな」と言っていた。まあ、その爺さんは完全に「逃げ切った世代」だから、年金だけでもそこそこ暮らしていけるのだろうが。
可哀想なのは、既婚子持ちの30~40代だろう。子供の学費に汲々とし、年金はカットされ、さらに子供が引きこもりになって無職のおじさん化すれば目も当てられない。貯金ゼロの人たちだって大勢いるのではないか。結婚しない若い人が増えているのも納得である。そんな状況なら、私だって結婚しない。
この老後2,000万円の件に関しては、マスコミと野党がやけに騒いでいるが、これはいつもの偏向と曲解によるものなのではないかと疑わしい。私は、「すべてマスコミと野党が悪い」派の人間だから、つい、そう考えてしまうのである。どうせ政権奪取を果たした民主党政権時代の夢をもう一度と、声高に国民を煽っているのだろう。馬鹿野郎め。
そもそも老後に2,000万円という話は、これは「例えば」の話であって、絶対ではないだろう。そんなこと経緯を調べなくてもわかるのである。生活の基準は個人によって違い、当然、必要とする金額も違って当たり前なのだ。
さらには、元々庶民というのは、日々、綱渡り的に何とか生き延びてきた階級の人たちである。落ちるに決まっていると思われながらも、危ういところでバランスを取り戻し、何とか生きている人が大勢いるのだ。
「老後に2,000万円必要? 何言うてんねん。そんなん上級国民の話やろ。ワシやったら老後に2,000円でも生き延びたるわい」
それが庶民の正しい反応であり正しい生き方である。もし、それでも生きていけなかったら、その時はみんなでテロリストになって日本政府を転覆させてやればいいのだ。見事革命が成った折りには、「お前がみんな悪いんじゃ」と鳩山元総理のホッペタをつねってやろうじゃないか。
それはそれで面白そうだなと私は思う。