だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

「孤独のグルメ」に足りないのは、本来あるべきはずの助平に関する独白である。

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食にはまったくこだわりがない。私は、グルメの対極に位置する男である。「美味しんぼ」とかいう漫画に出てくる理屈っぽい主人公が何より嫌いだ。次に嫌いなのは、島耕作である。

とりあえず食事などカレーがあればそれで十分である。たまに見た目にごまかされて外食でオムライスなどを頼んでしまうのだが、あれは見た目だけだ。うめーっ、とはならないのだ。これまで3回食べたが、毎回カレーにするんだったと後悔した。4回目はないのである。

まあ、うまいものが嫌いというわけではなく、例えばたった今もおやつを食べた。おやつと言っても菓子ではなく、「白い食卓ロール」に切れ目を入れ、そこに卵焼きを挟んでマヨネーズ塗った上に醤油を垂らしたものである。この程度で十分に満足できる人間であり、舌はとことん貧しい。舌で選ばれるなら生活保護確定だ。河本準一ともお友達になれるのである。

さて、そんな私も実は「孤独のグルメ」は好きである。先程Amazonで大晦日スペシャルというのを見たのであるが、いやあ、びっくりした。あなた、そこに柄本明が出ていたのである。柄本明ですよ。料理屋の店主役だった。

もうね、柄本明が出てくるだけで、うまそうに見える。いや、うまいに決まっている。あの顔と声と演技で料理を出されたら、うまくないわけがないのだ。さりげないセリフにも味わいがある。料理のうまさにつながっている。リアリティではなくリアリズムなのだ。

もちろんこのドラマの面白さは、主人公の独白であり、言わば他人の思考を盗み見ている面白さなのであるが、こういう絶妙な配役をたまに楽しめるのもいい。別の回では、伊東四朗が出ていた。

ただ、ちょっと不満なのは、独白が料理に関することばかりである点だ。それは不自然でしょうが。もちろん、時間的制約もあるだろうし、テーマから外れる独白はジャマだというのもわかる。だが、あまりにも料理に特化しすぎだと思うのだ。

たまには、「何だ、この巨乳は。うおォ~ン、急にマシュマロが食べたくなってきたぞ」とか「おれの下半身の人間火力発電所が全力で稼働している」とか言ってほしいのである。それが男という生き物の自然の独白なのだ。

そうすれば、視聴率倍増、日本だけでなく、全世界の国民的ドラマになること間違いないのである(嘘)。