だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

恐いもの見たさでつい見てしまった映画「響 -HIBIKI-」

f:id:b9q:20200303153103p:plain

私だってね、あなた。小説くらい書くわけです。これは自慢ですが、高校生の時に書いた小説で商業誌デビューも果たしているわけです。

ただ、長い文章を書くのが苦手で苦手で、「原稿用紙50枚書け」と聞くだけで、嘔吐反射が起こって「オエッ」となってしまう。50枚なんて無理無理。これでは短編小説すら書けない。

これが原稿用紙300枚とかになると、嘔吐反射ではなく確実に吐く。今朝食べたバナナと牛乳と焼きそばパンがオートミール状態になって口から吹き出るわけです。汚いでしょうが~っ。

精神的に弱いんでしょうな。そう言えば、小学生の頃も給食の臭いをかいだだけでオエッとなっていた。好き嫌いはなかったのだが、給食は口に合わなかったのである。心の弱さでは、誰にも負けないのだ。

で、この間見た「響 -HiBIKI-」である。

正直見たくはなかった。他人が小説を書くシーンなんて、見たくないわけです。小説を書くことのしんどさを知っているからであり、自分が途中で投げ出した道でもあるからだ。見たくないに決まってるじゃないですか。

特に、小栗旬が演じるあまり売れてない小説家には心が痛んだ。真面目に小説に取り組み、なんとか芥川賞を取ろうと頑張っている。

自信作が本になり、女子高生の本が平積みされているのを見ながら、自分の本を探すシーンなど思わず涙が出たのである。ベストセラーのコーナーにも新刊コーナーにもない。作家別の棚を探すと、わずかばかりの本が棚に入れられていただけだった。まあ、涙が出たのは嘘だけど、あれは悲しかった。

結論から言うと彼は芥川賞をとれない。そして、自殺しようとする。そこからはじまるラストへの展開は、これは主人公の響にも売れない小説家にも救いがあって、なかなかいい結末だった。

ちなみに作中で、主人公がかつてはいい小説を書いていたオッサン作家と握手をする際に、思い切り力を入れて握られて顔をしかめるシーンがあるのだが、あれは実話らしい。「おれの手を握りつぶして執筆できないようにしようとしやがった」と喧嘩になった作家たちが実際にいたんだそうだ。まあ、そういうおかしな人が多いのが小説家という世界なんだろう。私程度の変人では、とてもとても。

主人公の響は、ピュアで論理的すぎる性格からか、「殺すぞ」と言った同級生の指を「殺されないため」にへし折ったり、友人の女子高生作家を侮辱した作家の顔面を蹴り飛ばしたりするのだが、映画を見た人の中には、そうした暴力性を気にする人が多かったようだ。

まあ、極端なキャラクター設定は必要だろうし、例えばいつもパンツを見せている淫乱女子高生や三時のおやつにウンコを食う偏食女子高生といった設定よりはマシだろう。平手友梨奈の淫乱女子高生なら見てみたい気もするが偏食女子高生はノーサンキューである。

響 HIBIKI、なかなかの傑作映画だった。