だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

「ローグ」、一週間昼夜ぶっ通しでやり続け、気がつくと死にかけていたという恐ろしいゲーム

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「尻」と書いてあっても、それが男の尻なのか女の尻なのかは分からない。

漢字の限界である。しっかりと伝えるためには、「男の尻」「女の尻」と書かなくてはならない。もっと細かく言えば、女の尻であっても、女子大生の尻と老婆の尻は意味がまったく異なる。

「尻」だと思って興奮したら、オッサンや辻元清美の尻でガックリという危険も十分にあるわけだ。漢字の不確実性は、日常生活にも悪影響を与える。

さて、今日の本題は「尻」ではない。上品かつ性欲の希薄な私が、そんなテーマで論じるはずがない。今日は、言ってみれば記号論である。

記号には、物理的指示作用と図像的表示能力があり、さらにこの二つの作用の総合として象徴作用という第三の意味作用が生じる。まあ、こんなことを言っても、諸君にはさっぱり意味が分からないだろう。心配はいらない。私も分からない。

本日語るのは、「ローグ(ROGUE)」という1980年に発表されたパソコンゲームのことだ。私が唯一徹夜したゲームである。これほどプレーヤーの想像力が求められるゲームはない。

すべてが記号で表されるゲームである。

主人公は「@」だ。

こいつを動かしていると、ヘコヘコと「B」やら「D」がやってくる。このアルファベットの大文字がモンスターたちで、AからZまでいる。ちなみに「B」はコウモリの化け物で動きが素早い。「D」はドラゴンで火を吹く。「V」はヴァンパイアで、せっかく貯めた経験値を吸い取られる。

時々武器やら防具、水薬、魔法の書が落ちていて、すべて記号で表される。一番重要なのは食料で、「:」だ。これが落ちていると「ヤッホー」と飛び上がるほど嬉しい。見つからないと迷宮の奥底で飢え死にするのだ。

これ以上素っ気ないグラフィックはないわけで、さらに誰も話しかけてこないし、音楽もない。それどころか効果音もないのである。

だが、私は断言する。

これこそ最強のロールプレイングゲームであると。自分のイマジネーション次第で、CGを駆使した最新の3Dゲームを超えるドラマが繰り広げられるのだ。

私が脳内に繰り広げるローグは、おそらくどんな映画よりもリアルであり、どんな小説よりもドラマチックだ。私が想像する「M(メデューサ)」をあなたが目にすれば、その恐ろしさに確実にお漏らしするだろう(女性限定、男性のお漏らしは想像すらしたくないので厳禁)。

ちなみにゲームの目的は、地下深くにあるお守りを見つけることだ。それを使った時だけ、階段を登ることができるのである。非常にシビアで、私が地上に生還できたのは一度だけだ。 「尻」や「乳」という文字に興奮できる人なら、おすすめである。