だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

なになに「慎重勇者」だと!? どうせ異世界転生ものだろ。私のような高尚な人間が、そんなものを楽しめるはずがないではないか、と思ったら。

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いやあ、びっくりした。

私は、古典はもちろん、ミステリーやSF、漫画に至るまで超絶に読みあさり、さらにはエロ小説まで読みふけった男である。まあ、エロ小説と言っても、例えば安部公房の「箱男」だったりするのだが。いやあ、高尚すぎて申し訳ない。

そんな雑読派の私も、ただ一つ、ラノベと呼ばれるジャンルだけは読んだことがない。一度読みかけて、あまりに文章がひどくて気が狂った。小説である以上、文章は最重要である。文章が下手くそな小説など、クリープを入れないコーヒーのごとし。買ったばかりのラノベをビリベリバリと破り捨て、塩とこしょうを振って食ってやろうかと思ったくらい腹が立った。

あなたね、ラノベは馬鹿です。辻元清美楽天三木谷社長よりも馬鹿です。さっさとへそを噛んで死ねばいいのに。

で、この間、コロナのせいでイベント絡みの仕事が中止になり、しかたがないのでAmazonプライムでアニメなどを見ておったのです。

まあ、暇つぶしだから何でもいいやと、最初に目に付いた「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」を見たのである。もう、タイトルからしラノベ。馬鹿丸出し。あらすじを読んでもやっぱりラノベ。まあ、小説と違って文体というのはないから、気が狂う心配はないだろう。

なるほどなるほど、極端に慎重なキャラクターの勇者の物語か。まあ、極端に助平とか、極端に頭がいいとかのありふれたキャラクター設定よりかはマシか。勇者物とすれば極端に臆病などというのもありがちだし、それを「慎重」としたのはまあまあかな、などと見続けたのである。

慎重すぎるから抜かりはない。鍛錬によりしっかりとレベルアップし、道具類も念には念を入れて大量に確保する。

私もよくやるのだが、RPGでレベルアップしすぎてボスキャラを一瞬で粉砕し、終わってからよく後悔したものだ。「ウィザードリィ」は、確かレベル16くらいでボスキャラ対決がベストだと言われていたのだが、私は、レベル42まで上げてしまった。最後のボスキャラまで、侍の花子さんの一撃で倒してしまうのだ。まったくもってつまらないのである。

このアニメも、それと近い部分はあって、闘いの場面は勝って当然のことが多い。闘いでハラハラする場面はあまりない。どちらかというと、各キャラクターの面白さでつないでいる印象がある。

ところが、あなた。いやあ、びっくりした。

全13話なのだが、その12話でいきなり急展開である。というか単なる極端なキャラクター設定だと思っていたアニメが、完璧な伏線回収を見せる。もうね、見ていてじわっと涙が出ましたよ。

もちろん私は原作を読んでいないし、これから読む気もないし、従って原作がどの程度のレベルの作品なのか知る由もないのだが、しかし、少なくともこのアニメはよかった。

で、立て続けに「ゼロから始める魔法の書」「この素晴らしい世界に祝福」「盾の勇者の成り上がり」を見たのだが、いずれもそれなりに面白い。特に「盾の勇者の成り上がり」は、勇者がレイプ犯の冤罪を受けてからのキャラクターの変容がいい。

いやあ、たいしたものだ。もしかすると小説やドラマよりも、アニメ業界に今一番優秀な人が集まっているのかも知れない。世界のオタクたちが日本のアニメに熱中するわけである。

ちなみに「盾の勇者の成り上がり」は、海外では冤罪だったことから「#MeTooの流れに反する」などと非難する連中がいたり「奴隷制度を容認している」などと馬鹿を抜かす連中がいたようだが、よほど自分の中にある差別心が大きいのだろう。だから、必死になって叩こうとするのである。一生「#MeToo」と言ってろよと思う。

さて、次は「魔王様、リトライ!」でも見てみるか。いやあ、楽しみだ。