私のパソコンは、旧式である。ThinkPad L540という化石のようなパソコンである。アウストラロピテクス・アファレンシスもびっくりなのだ。
起動だって3分30秒かかる。OSを初期化する前は、7分近くかかった。カップヌードルだって余裕で出来上がるのだ。いや、食い終わるのだって余裕だろう。聞けば、今どきのパソコンは10秒くらいで起動するのだそうだ。狭い日本そんなに急いでどこに行く。余裕のない連中だとつくづく腹立たしい。
で、実は、新しいパソコンを買うべきかどうか悩んでいた。やっぱりパソコンにとって速さは力である。遅いパソコンを使っていると、頭の回転まで遅くなりそうで怖いのだ。何かを考えるときに、頭の中で輪っかがくるくる回りそうなのである。
よーし、と少しワクワクしながらネットで探していると、マウスコンピューターの天板が真っ赤なモデルが目にとまった。
お~っ、まるでシャア専用ザクではないか。松屋でこのパソコンをパカッと開けたときの回りの客たちの反応を想像し、ふふふと笑いながら、私はすぐに購入しようとした。そしたら、あなた、完売御礼である。Amazonにはあったのだが「出品者からお求めいただけます」とあって、こんなのを注文したらこのパソコンの写真だけが送られてきて、「騙されよった。やっぱりジジイは情弱やのう」などと笑われそうで怖いのである。
仕方がないのでネットをブラブラしていたら、ハードディスクをSSDに換装すれば爆速!などと書いてあって、調べてみるとなんと500GBが6,000円くらいではないか。昔、1.5MBのメモリーを高い金を出して買った記憶が蘇り、6,000円がものすごく安いと錯覚して、ついAmazonで注文してしまった。
買ったのは、Samsungの860 EVO 500GBとSalcarのHDD/SSDケースである。本当はキオクシア(旧東芝メモリ)のSSDを買おうと思ったのだが、ついSamsungのを買ってしまった。申し訳ない。
PC環境の引っ越しには「EaseUS」というフリーソフトが定番らしいのでダウンロードして使ってみた。ちょっと迷ったのは、SSDの初期化に「MBR」か「GPT」かというさっぱり訳のわからない選択肢である。
ネットを見て私なりに解釈したのは、「今のハードディスクの形式がGPTなら、新しいSSDもGPT」ということなのだが、中には頑なに「MBRを選べ」「MBRを選ばないと後悔することになるぞ」「おれはGPTを選んだせいで時間を無駄にした」と書いている人が何人かいた。
さらには、「元のHDDがGPTということは滅多に有ることではありません」などと書いてる人もいて、まあ、これは「教えて!goo」の回答だからこんな人がいても仕方がないか。とはいえ、32bit機が全盛だった頃の回答だろうと思ったら、2020年の回答でちょっと驚いたのである。知らないくせに、なぜ答えようとするのだろう。
フォーマット形式の調べ方を書いておくと、Windowsの場合はWindowsマークを右クリックして「ディスクの管理」を選び、「ディスク0」と書かれた部分を右クリックして「プロパティ」を選ぶ。その中の「ボリューム」を見れば、私の場合は「GUIDパーティションテーブル(GPT)」と書かれていた。交換するSSDもそれに合わせればいいのである(と思う)。なぜ、彼らがGPTをあれほど目の敵にするのか理解できないのだ。
さて、ディスクの内容をコピーするのに2時間ほどかかったのだが、その後はスムーズだった。ハードディスクとSSDを交換し、電源をONにすると、いつものようにWindowsが立ち上がった。時間を測ってみると2分弱である。1分半ほど速くはなったものの、爆速というわけではない。ソフトの立ち上げも若干速いような気がするだけである。おそらくエロ動画の入れ過ぎだろう。
うーむ、まあ、6,000円だからなあ。これで十分かなどと思いながらも、私は「Samsungなどという韓国製品を買ってしまったバチが当たったのだ」とつい思ってしまい、いやいやいや、それでは「GPTのせいで時間を無駄にした」と言い張る人たちと同じレベルではないか、と自戒したのである。