だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

報ステCMが炎上し、それに呼応した記事が飛び交う中、「三谷幸喜のありふれた生活」は演じた新人女優に寄り添う内容で、いやあ、ホッとした。

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大きな声では言えないのだが、私は朝日新聞購読者である。おそらく近所でも「あの家は朝日新聞ヒソヒソ」などと噂されているのだろう。非国民まったなし。鬼畜米英、来るなら来い来い赤とんぼである。

ただ、朝日新聞にもいい点があって、それは例えば木曜の夕刊に連載されている三谷幸喜のありふれた生活」というコラムである。これは、まあまあ面白い。私は彼のファンではないのだが、それでも読むに値するコラムだ。

特に、4月1日のは良かった。ネタは、報道ステーションのWeb用CMの炎上についてだ。

私は見てないので何とも言えないのだが、炎上のニュースはネットで読んだ。CMを見ようとしたのだが、YouTubeのも見れなくなっていて悔しいのである。

CMをざっくり説明すると女性が出てきて「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかって今、スローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」と言うんだそうだ。私はそれを読んで、すぐに蓮舫さんと辻元清美さんの顔が浮かび、「ああ、確かに」と頷いたのだが、世間の人は逆上したらしい。色んな人が批判している。

正直、私はなぜ炎上したのかがわからない。怒るとすれば蓮舫さんと辻元清美さんくらいではないか。ああ、福島みずほさんもいるな。「女性蔑視」と怒っている人がいるらしいのだが、ニュースを読んで感じたのは「政治家蔑視」である。報ステがいつもの調子で、自民党に底の浅い批判をしただけに思えた。それともCMに出てきた女性に対する演出が、フェミニストが怒り狂うほどアホっぽいものだったのだろうか。見てないから分からんけど。

まあ、キャッチフレーズが「こいつ報ステみてるな」という極めてクサいものであることからしても、CMとしての出来は低いと思われる。こんな自画自賛をしてよく恥ずかしくないものだと呆れかえるのである。そう言えば、退職したくせに「元朝日新聞記者」などとブログの紹介で書いたりする人も多く、報道関係の人は自分の職業に誇りを持ちすぎているのかもしれない。

で、ここからが本題だ。「ほお」と感心したのが朝日新聞に連載されている三谷幸喜のありふれた生活」である。

彼は、報道ステーションのCMの炎上を取り上げた。視点は、CMに登場した女優(おそらく新人)である。コラムの一部を抜き出してみよう。

▼問題は内容にあったわけだが撮影現場のことを思うと、演じた女優さんが気の毒で仕方がない。(中略)局の看板番組のCMに抜擢され、彼女は全身全霊を懸けて頑張った。その結果がこれでは、あまりにかわいそうだ。

三谷幸喜は、彼女が見せた演技の難しさを丁寧に説明し、それをやり遂げた彼女を賞賛する。そして、最後はこう締めている。

▼CMは終わってしまったけど、僕らはあの女優さんの演技をまたどこかで目にするような気がする。それも近い将来。楽しみにしていますね、新人女優さん。

あの三谷幸喜からこう評されたのだから、この女優の未来は明るいのである。炎上してCMが中止になった時には、自分が責められているように感じただろう。落ち込みもしたはずである。だが、災い転じて福となす。雨降って地固まる。英語で言えば、He that stumbles and falls not mends his pace(つまづいても倒れない者は、歩調が早くなる)である。

ああ、朝日新聞を購読していて良かった、と私は3年8ヶ月振りに思ったのだった。