嫌いなのに縁が切れないという点では、朝日新聞とワープロソフトの「一太郎」は似ている。
いや、とりあえず朝日新聞は毎日読んでいるが、「一太郎」は実はほとんど使っていない。毎年新しいバージョンをインストールし続けているだけだ。使わないのに買い続けるのは愚行であり、特に私のような貧乏人には、決して許されることではない。
そして、この間、Windows10をクリーンインストールしたことをきっかけに、私はパソコン環境というものを一から見直してみたのだ。特に「Scrivener3(スクリブナー)」の出来のよさに感心し、文章作成はこのソフトに統合しようかと思い始めている※。
つまり、もう何十年もパソコンに存在し続けてきたジャストシステムの「一太郎」を、いよいよ破棄する時がやってきたのだ。ジャストシステムは、毎年「バージョンアップでっせ。さっさと金を払いなはれ」と勧誘してきたのだが、なにがバージョンアップか。見た目も機能もほとんど変わらないのである。それがずーっと続いているのだ。馬鹿馬鹿しい。
しかも、最近は、マイクロソフトのオフィスみたいなパチもんソフトと組み合わせて高く売るシステムも取り入れてきた。馬鹿者がっ。Googleの日本語変換ソフトの出来がよく、もはやATOKの優位性もなくなった今、いよいよジャストシステムに「さらば」と言うときがやってきたのである。
「一太郎」だけではない。私は、グラフィックソフトの「花子」やメールソフトの「Shuriken」も使っている。私は職業柄企画書を書くことが多く、「花子」は随分と活用させてもらった。操作が独特でデータが重くなると動かなくなるという欠陥があるのだが、簡単な企画書なら十分に使えた。「一太郎」よりも「花子」の方がお世話になった印象が強い。
メールソフトの「Shuriken」にしても同じだ。特にメールソフトにこだわりがなかったので、何も考えずに長い間使っていた。背景のデザインがやたらと多く、最初は面白がっていろいろ試してみるのだが、いずれもセンスが悪い。結局シンプルなものに戻るのである。
メールソフトも見直すか、と、試しに以前使ったことのある「Thunderbird」を入れてみたら、見た目も機能も随分と進化していた。使いやすいしデザインも今風だ。カレンダーやToDoリストも付いている。メールソフトはずっと立ち上げているし、これは便利そうじゃないか。というわけで、メールソフトはThunderbirdに決定である。
あとは、グラフィックソフトの「花子」である。
人間はその見栄えが9割などと言うが、企画書も同様だ。内容よりも、まず見栄えである。私の場合は、格好いいチャートが手軽に作れるのがグラフィックソフトに最も必要な点だと考えている。
例えば、「花子」は、丸やら四角の図形に文字を入れる際、右クリックして「文字の入力」を選ぶ。普通のソフトは、図形をダブルクリックすれば文字を入力できる。「花子」は、どうも、効率が悪いのである。また、隙あらば動作を遅くしてやろうと待ち構えている。このあたりは、「一太郎」と同じだ。どちらも性格が悪いのである。
「遅い場合はああせいこうせい」とジャストシステムのホームページには書いてあるのだが、そんなもんさっさと改善せいよ、と思うのである。毎年バージョンアップしてるくせに。
で、グラフィックソフトを探していたら、かなり優秀なソフトを見つけた。「EdrawMax(エドラマックス)」というソフトだ。これは、本当にいい。マイクロソフトの「PowerPoint」に物足りなさを感じているようなビジネスマンなら必携である。まあ、Windowsのグラフィックソフトと言えば、「Visio」が有名なようだが、あれは、高いからなあ。
最も注目すべき点は、テンプレートが豊富(上の写真参照)であると言うことだ。これを見ているだけで発想が広がるし、なんだったら、これをひな形にしてそのまま利用することもできる。「パクったな」などと非難されることはないのである。
そして、使いやすい。
例えばチャートを作る際、四角とか楕円の図形を置く。すると図形外の上下左右に▶が現れ、それをクリックするだけで連結する新しい図形が現れる。その際に図形の形も選べるし、矢印も自動的に付加される。もう、簡単すぎて次から次にチャートが生成され、無駄に巨大化するのだ。
ただし、有料である。コースがちょっとわかりにくく、「永続ライセンス」が13,800円。たぶん、3年間は無料でバージョンアップに対応してくれるコースだと思う。これが永久にバージョンアップできる「永久ライセンス」なら18,500円。一番安い「1年間プラン」は9,800円である。これは、自動更新のようでサブスクと考えれば月300円くらいだ。
私は、Web版を使って使い勝手を確かめたのだが、今のところは「おいこら、もう、3日も使っとるがな。さっさと3万円払わんかい」などというメールは届いていない。おそらく製品版を買うことになるだろう。「Scrivener3」と「EdrawMax」で鬼に金棒。弁慶になぎなた。英語で言えば、Adding wings to a tiger(虎に翼)である。
「花子」だって、こういう進化を遂げる可能性はあったはずで、いったいこの何十年という貴重な時間をどう費やしてきたのか。それを考えると残念である。まあ、進化をしていないのは私も同様であるが。そう考えると、ダブルで残念なのだ。
※Scrivener3は、原稿用紙300枚くらいだと重くなる現象が出たので、長文の場合はMeryかO'sEditor2になる模様。何事もパーフェクトは難しい。などと思っていたら、今では長文もスイスイ動くようになった。たまたま機嫌が悪かっただけのようだ。やっぱりScrivener3は素晴らしい。