諸君、純国産ワープロソフト「一太郎」を使っとるかね。なに、使っていない!? いや、結構結構。使わなくて当たり前だ。あんなもの無用の長物、月夜の提灯、英語で言えばWhite elephantである。
そもそもたった今書き込んだ「使っとるかね」は、一太郎に同梱された日本語変換ソフトのATOKだと「津カットルカね」となる。なんじゃい、それは。話し言葉モードに設定しても同様なのだ。
それに比べて、Googleの日本語変換は優秀なのだ。「使っとるかね」ときちんと変換してくれるのである。まあ、性能の差ではなく、細かいことを気にしないGoogleシステムの怪我の功名なんだろうが。ATOKは、かゆいところに手が届きすぎてアホな変換をよくするのである。さらには、Googleのほうが軽快であることは確かで、なによりGoogleは完全無料なのだ。Googleさん、ありがとう。
さて、一太郎やATOKの生みの親といえばジャストシステムなのだが、マイクロソフト帝国のOffice軍団にボコボコにされてしまい、そのせいで経営状況が悪化した。仕方なくKEYENCEに助けを求めたという悲しい過去がある。
今のジャストシステムのサイトがまるでセンスがなく、「なんでも売ったるんじゃ~」という印象なのは、おそらくKEYENCEの意向なのだろう。Officeのパチもんソフトを加えて「プラチナ版」として高く売る手法も、日本語変換ソフトのATOKをサブスクにしたのもKEYENCEの意向なのに違いない。ジャストシステムは、もはやパソコンソフト開発の技術者集団ではなくなったのだ。
で、そのジャストシステムから「新しい一太郎買ってくれや」とカタログが送られてきた。2021年版は未購入だったのだが、なにしろ私は代わり映えのしないソフトに毎年お布施を続けてきた愚かな信者なのだ。「どうせまた、買いよるで」と思われているのだろう。
で、カタログを見て驚いた。
日本語変換ソフトの「ATOK」がパスポート版になっているのである。一年間は使えるが、それが過ぎれば毎月課金しなければならないのだ。サブスクリプションである。毎月の支払いが少ないものだから、「300円なんやから、まあ、ええか」と、つい契約してしまうサブスクなのである。
ATOKのサブスク展開は知っていたが、まさか一太郎に同梱したATOKまでサブスクにしてしまうとはなあ。ポンポコピーの称号を与えたいほどの愚挙ではないか。このポンポコピーがっ。しかも、パンフレットでは、それがATOKの一番の売りというスタンスである。アホかっ。本来ならずっと使えるものを、一年限定にしている以上、これは消費者にとってはデメリットなのだ。それすらわからないほど、ジャストシステムはKEYENCE脳におかされているのだ。
たとえばAmazon Prime Videoならわかりますよ。月額500円で映画やアニメが見放題。コンテンツはどんどん増えるし、500円の値打ちは十分にある。むしろ安いくらいだ。
また、Microsoft365のサブスクも、まあ、納得である。月額1,000円ちょっとと高めだが、Word、Excel、PowerPointに加え1TBのOneDriveもついてくるのだ。内容的にはお得な気がする。
しかし、ATOKにその価値はあるか?
ベーシックタイプなら年間で3,960円。辞書がいろいろついたプレミアムタイプなら6,600円。いやいやいや。ないないない。それだったら買い切りの方が得である。「常に新しいATOKが使える」などとアピールしているが、あなたね、毎年ATOKを買い換えてきた私が「どこが変わったのかわからんなあ」という状態なのだ。最近「おっ」と思ったのは、変換窓にダークモードがついたことくらいだ。
日本語変換アプリは、裏方だから目立ちにくいという側面はあると思うが、ATOKと性能が変わらないGoogle日本語変換が無料である以上、ATOKのサブスクは無謀であると感じる。
で、その馬鹿げたサブスク化が、今回の「一太郎2021」の購入のきっかけになるとは、私自身、予想もしなかった展開である。つまり今後、買い切りのATOKは出ない可能性が高いと考え、そうなると「今のうちに最新版(2021年版)の一太郎&ATOKを買っといた方がいいのではないか」という結論に達したという訳なのだ。
たとえて言えば「そろそろ筒井康隆も危なそうだから、この新刊は買っとくか」という感じである。いや、ちょっと違うか。
さて、つい先ほど、一太郎2021のインストールが終わり、今、こうして記事を書いているのだが、毎度のことだが、いやあ、どこが変わったのかやっぱりわからない。ダウンロード版で信者用の割引があったのだが、それでも5,940円である。これならパソコンの増設メモリでも買った方がよかったのではないかと今ちょっと後悔している。
しかし、見れば見るほど一太郎の画面は不細工だなあ。私の文書スタイルの設定が悪いのかもしれないが、どうも見た目が美しくない。現在、私は「Obsidian」というエディタをメインで使っているのだが、それと比べると心地よさがまったく感じられないのである。ダークモードも搭載されていないようだし、全画面表示も相変わらず不完全なままだ。
私が想像するに「そろそろきちんと作り直した方がええんとちゃいますか」というジャストシステムの社員の声に、天下りしてきたKEYENCEの上司が「何いうとんじゃ。そんな金がかかることをしてるから、赤字になるんじゃ。どうせ買う連中は、ジジイばっかりじゃ。前のバージョンなんか忘れとるわい。手直しなんかせんでもええ」などと言っているのだろう。
2021版ATOKは、例の「文節の区切りがわからない問題」が相変わらず解決されてなくて、ブラウザのほかにも私がメインで使っている「Obsidian」でも同じ症状が出る。これ、ずいぶん前から指摘されていて問い合わせも多いはずなのだが、一向に直らない。直す気がないのだろう。これもキーエンスの意向に違いないのである。KEYENCEは悪いやつだなあ。
なにが「下線をつけるようにセッティングしたら、文節の区切りがわかります」じゃ。私は死にかけのジジイで、目がよく見えへんのじゃい。細い下線では意味をなさんのじゃ。このポンポコピーがっ。
で、これならマイクロソフトIMEの方が出来がいいのではないかと試してみると、以前と比べるとずいぶん賢くなっているのである。さすがはMicrosoft帝国。本気を出せば、鬼畜米英、来るならこいこい赤とんぼ、たとえ民度が低い能天気なアメリカといえども侮れないのである。ああ、そういえばGoogleもアメリカだったか。
どうりで太平洋戦争で日本が負けるわけだ、と私は思い知ったのである。
※「文節の区切りがわからない問題」は、私のパソコン環境下では、GoogleとMicrosoftの日本語変換でも同じ症状が出る。と思ったら、いつの間にかGoogleとMicrosoftは下線処理がうまく機能するようになっていた。ATOKは、相変わらずである。