だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

YOASOBIのキービジュアルを担当している人が、トレース&パクリ疑惑で炎上したという話を聞いて、かつて私がやったパクりを思い出した。

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なに、パクリ疑惑ですと!? 

YOASOBIのキービジュアルを担当している人が、トレース&パクリ疑惑で炎上したらしい。こういう下世話な話題は大好きだ。

あなたね。パクりなら、私に任せなさい。実は、私はむかし広告業界にいた人間で、私が業界に入った頃は今ほど著作権にうるさくなかった。特にデザイナーはパクリ放題である。年鑑やデザイン書をめくりながら、「お、これ使えるがな」とアイデアをパクっていた。

「うん、キービジュアルはこの線でいこ。レイアウトは、こっちやな」

もっとひどいケースもあって、私が最初にもぐりこんだ制作会社では、パンチパーマにサングラスのディレクターから、こう指示されたことがある。

「おいこら新人。雑誌広告で使うから、この写真集からええやつ探しといてくれ。どたまかち割るぞ」

渡されたのは海外の写真家の本である。もちろんプロのカメラマンだ。ラフ用にとりあえず入れ込むのではなく、そのまま紙焼きして製版に回して広告のビジュアルとして使うのだ。トレースどころではない。完全なパクりである。いったい何を考えていたのだろうか。

まあ、ろくな制作会社ではなかったのだろう。給料も安かった。私は、その会社を3ヶ月ほどで辞めて、もう少しマシな会社に移ったのである。

そういえば、東京オリンピックロゴマークをパクったデザイナーもいたなあ。ただ、あれは協会が対応を誤った点も大きく、すぐに「あっ、ほんまや。似てるがな。えらいすんまへん」と謝って、東京ばな奈でも持っていけばたぶん許してもらえたのである。意固地すぎたのだ。まあ、その後、ほかの作品でパクりが明らかになってしまったのであるが。そういう人物だったのだろう。

ロゴマークは、似た作品などはいくらでもあるわけで、やや気の毒に思ったのだが、YOASOBIの担当者の場合は、いくつかの例を見る限り、これはいけません。「トレース&パクリ疑惑」などというあやふやな言葉を使ってはいけない。はっきりと盗作、著作権の侵害と言うべきである。

本人は、「オマージュだった」と言い訳しているようだが、オマージュを感じるほど感動したのなら、まず作者に連絡すべきだろう。少なくとも元になった作品を記載しておかなくてはならない。

そうした手続きをなんらやっていない点と、その作品が商用である点からしても、著作権の侵害であることは明らかだ。さらには「トレースはしていない。模写したが盗作の意図はない」などと意味不明の言い訳をしており、実にブッサイクである。

この人は、アンディ・ウォーホルポップアートの意味と意義を、しっかりと学んだ方がいいと思う。思慮が浅すぎだ。

ちなみにトップに載せた作品は、アンディ・ウォーホルの「毛沢東肖像画(1973)」である。いやいやいや、アンディ君。君も思慮が浅すぎだ。マリリン・モンローなら部屋に飾りたいが、こんなもの私なら1万円もらっても飾らないぞ。ちゃんとモデルを選べよ、と思った。