だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

やっぱりオメガのスピードマスターが好き。ついでにセイコーのスピードマスターデジタルも好き。

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腕時計をしなくなった。

スマホがあるからではなく、時計をはめるのが面倒になったのだ。そもそも歳をとって時間を気にする必要がない。待ち合わせなどの時間に遅れても、認知症のふりをすればいい。そもそも最近は、コロナのせいで人と会わないのである。

以前は、オメガを使っていた。これは、私の趣味ではなく、父親の趣味である。父親が巨人ファンだったから、私も野球には興味がないのだがとりあえず巨人ファンを表明しているように、私もオメガを腕にはめるようになっていたのだ。

ちなみに父親の「透けてていいのは女性のパンツだけだ」という言いつけを守り、スマホのカバーは透明のものを忌避している。しっとりとした感触の黒を選んだ。

さて、オメガである。「おこめ」と同様、なにやら卑猥なイメージがあるのだが、そこは気にしなくていい。あまり気にしすぎると、「へえ、いい時計をしてるじゃないですか」「うん、オメコなんだ」などと言い間違える危険性がある。政治家のいい間違えは、たいてい「言ってはいけない」と気にしすぎたために起こる喜劇である。いや、悲劇か。

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そうだ、スピードマスターの話をするんだった。

今朝の朝日捏造新聞にスピードマスターの全15段広告が載っていた。時計仕掛の宇宙飛行士がモチーフになっているのだが、今ひとつできが悪い。手間暇はかけたのだろうが、インパクトは弱い。まあ、残念賞である。

冒頭に載せた「実際の月は、グレーだ」という広告は、何年か前に出た新聞広告で、コンセプト、写真、キャッチフレーズともほぼ満点を付けられる出来映えだ。私も思わず写真を撮ってしまったほどだ。ただし、選ばれた製品が悪い。オメガのスピードマスターは、初期型のクラシカルなものと決まっている。

私が所持するのは、実際に月に行ったのと同じモデルで、今時のものと比べると古くさいデザインだが、そこがいい。車と違って、スピードマスターの場合は同じデザインの最新のものが手に入るわけで、これはファンにとって喜ばしい限りである。

ちなみに私が購入したときは、確か定価が20万くらいだったと思う。もちろん貧乏が染みついた私は定価では買わず、ある秘密組織から仕入れ値の5万円で横流ししてもらった。それでも高いと感じたのを覚えている。

デザインは好きだったのだが、機械式の時計は面倒くさい。狂いは大きいし、ネジを巻き忘れると止まる。さらに時々ゼンマイが切れてその修理に何万もかかり難儀した。そもそも一年に一度はオーバーホールしろと言うのである。いやいやいや、その値段で新しい時計が買えるではないか。高級車と同様、維持費がかかるのである。

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結局、普段使うのはセイコーのスピードマスターデジタルというジウジアーロデザインの時計になった。これは、文字盤がバイクに乗ったときに見やすい角度にズレているライダー御用達の時計なのだが、実は、普段時計を見るときの方がちょうどいい角度である。バイク用なら、もう少し角度をきつくしなくてはならないのだが、それでは普段使いで不便だから妥協したのだろう。

確か「きのう、街で数回見かけました」というキャッチフレーズで広告が打たれていたのではないか。もしかすると別の商品だったかもしれないが、クリエーターは糸井重里だったような気がする。どこかのファイルケースに雑誌広告を保存しているはずだが、面倒なので探さないのだ。

この時計は、今も現役で使えるのだが、バイクで転倒したときにへこみができ、縁のあたりの黒い塗装もはげてきている。「あれ、頭もはげてるけど、時計もはげてますね」などと笑われては腹立たしいので使わないのだ。

持っているまともな腕時計は、NIKEのランニング用くらいで、デザインはいいのだがさすがにタキシードには合わない。まあ、タキシードなんて着る予定はないのだが、「あいつ呼べや」と天皇陛下に呼び出される可能性もゼロではない以上、もう少し見栄えのいい時計を持っておくべきではないか。

よし、そろそろ新しい腕時計を買うのだ。オメガのスピードマスターもきっと改善されているはずだ。ゼンマイだってそんなに切れないに違いない。残り少ない人生を、新しいスピードマスターとともに過ごすのだっ。

そう思ってオメガのサイトを見たら「ムーンウォッチ プロフェッショナルコーアクシャル マスター クロノメーター クロノグラフ 42MM」の価格が814,000円になっていて、私は、そのサイトをそっと閉じたのである。