ああ、いけませんねいけません。
劇場版「名探偵コナン」で‘’理想の花嫁‘’投票という企画が進められ、SNSを中心に批判的な声が上がったという。
女性キャラクター38人から選んで投票するというもので、批判が高まった結果、主催者側は「ファンの皆様にご不快な思いをおかけして申し訳ございませんでした。皆様からのご意見を受け、企画名と内容について運営側で再協議し、適切な内容に変更致します」と謝罪した。
いやあ、アホですね。謝るんだったら最初からやるべきではないし、やった以上は最後まで貫くべきだと思う。まさか批判されるとは思わなかったとしたら、時代錯誤もいいところだ。危機管理能力が絶望的に低い。このケースでは、普通に「好きなキャラクター投票」で行くべきだった。ストーリーに合わせたのだろうが、小細工が過ぎたね。
そもそも「理想の花嫁」という表現がいけない。これだと傷つく人たちがいるのだ。
言うまでもなく、自分が「理想の花嫁ではない」と自覚している女性たちのことである。私のクレオパトラ似の妻は別として、ほとんどの女性がそう自覚しているのではないか。そりゃあ怒りますよ。そして、そうした女性に追従する自称フェミニストたちもその怒りの尻馬に乗るに決まっている。
SNSでは「理想の花嫁」という表現に対し、「時代遅れ」「ジェンダー観が古い」といった批判が多かったという。
ん!? いやいやいや、待ち給え。違うだろ。「私は理想の花嫁じゃないから腹立つ」という批判は多くなかったのか? 「理想の花嫁って、私に対する嫌みか!?」という声は聞かれなかったのか?
例えば「理想の花婿」という企画だったら、私は「何言うとんじゃ~っ。わしは、稼ぎは少ないわ顔はブサイクだわおまけに頭は禿げてるわ、理想の花婿から一番遠い場所におる男なんやぞ。わしの心を傷つけるか~っ。許さん。未来永劫許さんぞ~っ」と怒り狂うに違いない。「もう、一生、名探偵コナンは見ないのだっ」と断言するに違いない。
などと、とりあえずテーマに沿って怒った風で書いてみたのだが、うーん、正直に言うと、別に「理想の花婿」投票であっても腹は立たんなあ。男女平等なんだから、怒らないといけないんだろうけど。申し訳ない、私は時代遅れでジェンダー観が古い人間であるらしい。ああ、情けない。
まあ、こんなことを書いていると「女の場合は一元尺度でランクオーダーされるのに対して、男は多元尺度なんです」と上野千鶴子さんに笑われそうだが、私の理想じゃない部分は多元尺度でもそのすべてが理想じゃないからなあ。ああ、本当に情けない。
しかし、SNSの発達と普及によって、誰でも簡単に誹謗中傷したりクレームを入れたりできるようになった。そういう人たちには、なんか、こう、思わず「ごくろうさまです」と思ってしまうのである。