だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

小学館の編集者が立ち読みを注意されてご立腹。ああ、情けない。

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小学館の編集のオッサンが6畳程度のスペースの書店で長時間居座り、「立ち読みはやめてくれ」と店主に注意されたら逆上して店主を詰問し、さらにその顛末をTweetしまくったらしい。

まあ、実際にその場にいたわけではないので事実はわからない。だが、怒濤のTweetは残っているわけで、それを読む限り、この人、ちょっと人間としては情けない。器が小さいと言うか、ケツの穴が小さいと言うか、いや、ケツの穴は小さい方がその筋の人には受けがいいのか、まあ、そんなことはどうでもいい。ウジウジネチネチ、さすがは出版業界の人間だと思ったのである。

まず、言い訳が情けない。

「この本は買おう、と心に決めたとして、小規模書店なら、僕は持ち歩くのではなく最後にまとめて棚から持って行くことにしていったん棚に戻します。万引き警戒の観点からも其の方がいいんじゃないかと思うので」

なんか、立ち読みを注意された中学生の言い訳のようだ。

「これ、買いますから、もう少し立ち読みを許してくださいね」と手に持って買いますアピールをしていた方がいいのではないかと思える。小さな店なんだから、持っているだけでその意思は通じるのではないか。さらに冊数が多くなれば、店の人に言って保管してもらう。心置きなく他の本をチェックできるのだ。まあ私なら、まず最初に一冊は買っておいて客であることを確定しておくけどね。

決定的なことを書くと、「最後にまとめて棚から持って行く」というのは、言い訳以外の何物でもない。この人の勝手なルールなのである。なぜ店主がそんなややこしい言い訳に気づくと思い込んでいるのか理解不能だ。そう思っているからこそ、気づいてくれなかったことに腹が立ったのだろうが、その判断は独善的に過ぎる。

「あ、このお客様は万引きと間違われないために、本当なら手に取るはずの書籍を、元の本棚に戻しておられるのだ。一通り見終わったら、きっと10冊くらいは買っていただけるに違いない。ああ、ありがたやありがたや」

いやいやいや、そんな察しがいい人はいないだろう。あり得ないのだ。「私は立ち読みはしません」と額に書いているのならともかく、外観で判断できるわけがない。もちろん、普通の人にはその人の流儀も思考も読めるわけがないのである。

立ち読みする人と、あんたと、外観上どこに違いがあるのか、ぜひ教えていただきたいものだ。一般的には、本を立ち読みして棚に返して、また次の本を立ち読みして棚に返して、そんな行為を繰り返すことを、世間では「立ち読み」と言うのだ。当たり前ではないか。

もし、どうしても書棚に返しておきたいのなら、あらかじめ店主に「あとで買わせてもらいますので、もうしばらくパラパラ見させてもらっていいですか」と言えばいいのだ。それが常識というものなのだ。

出版社勤務のくせに、李下に冠を正さずという言葉を知らんのか? 瓜田に履を納れずとも言う。英語で言えばAbstain from all appearance of evil(悪と思われるような行為はつつしもう)である立ち読みを疑われたくないのなら、きちんと「買う」意思表示をしておかんかいっ。いい年をして、なぜにそれがわからんのだっ。ギャオ~ッ。

申し訳ない。私自身がウジウジネチネチした粘着質の性格のため、同族嫌悪なのか、つい気が狂ってしまった。いつもより三倍気が立っております。

とにかく書店は今売り上げが落ちて大変なのである。万引きは死活問題だし、立ち読みだって同様だ。いくら「書店の本は買うまではお店のものだから僕はそうとう丁寧に扱っているつもりです」と言い訳したって、買ってない時点で、それは立ち読みなのである。こんな単純な理屈が、なぜわからないんだろう。出版業界という特殊な世界で生きているうちに、社会的常識がどんどんどんどんズレていってしまったんだろうか。気の毒に。

女性店主は彼の態度に恐怖を覚え、さらに書店仲間から彼のTwitterを教えられ、パラノイア的屁理屈を読み、「こいつ、あかんやつや」と、さらに恐怖をつのらせたのだ。弁護士に相談するとのことである。い~や、私なら警察に相談する方が先だとアドバイスする。

その後も彼のTweetは続いたようで、最後は「なので、1日経ってみて、結論は『あの店主が特殊』でしかないです。(男性恐怖の)トラウマとかは別の話」と締めくくった。この「特殊」は、どう読んでも「異常」と同義であり、差別的かつ上から目線を感じるのだが、まあ、負け犬の遠吠えと言ったところだろう。よほど立ち読みと思われたことに腹が立ったんだろう。無駄にプライドが高い人物なのかもしれない。

もし店主に落ち度があったとすれば、オッサンのTweetが事実だとして「立ち読みの80%の人は買ってくれない」と言ったことだ。ややこしい人にこんなことを言っては、火に油である。せいぜい「申し訳ありませんが立ち読みはご遠慮願えますか」とだけ言っておくのが正解である。まあ、立ち読みを続ける一見さんに腹を立て、つい皮肉を言いたくなる気持ちはわかるのだが。

今、私は、彼のTweetを読んでいるだけで恥ずかしくて顔が真っ赤なのだが、いや、これは200越えの血圧のせいか。なにやら頭がガンガンしてきたぞ。このめまいは、脳梗塞の前兆なのか。死なないうちに、そろそろ締めくくろう。

ジェンダーレスの時代にはふさわしくない表現だが、それでも言わせていただく。

男として実に情けない。

 

※写真の書店は、記事に出てくる書店とは関係がありません。