だれかが松葉杖で扉をたたく

結構、嘘つきである。

Synergy Careerという会社が「底辺職」の記事を掲載して炎上。それを報じたフジテレビが「底辺職」とされた人たちに「底辺職と言われてますがどんな気分?」と取材してさらに炎上。

いやあ、これはひどい

Synergy Career(シナジーキャリア・大阪市という会社が運営する「就活の教科書」というサイトで、「底辺の仕事ランキング」という記事が掲載されていたという。あなた、「底辺の仕事ランキング」ですよ。ちょっと驚きました。

私もライターの端くれなので、こんな記事を書くライターがいるのは非常に恥ずかしいわけです。「底辺」という言葉を、こうした企業がらみの記事に使ってしまうという時点で、ちょっと頭がおかしい人なんでしょう。

それこそ「底辺ライター」じゃないですか。いやいやいや、底辺のお前がなにを偉そうに「底辺職」を定義しとるんじゃい、と思わず語尾が河内弁ぽくなってしまうわけです。

ちなみにその記事の監修はSynergy Careerの社長がやっていたらしいので、同様にこの人もちょっと頭がおかしいのでしょう。

社長の写真を見るとなんとなく薄っぺらな感じの若い人で、いかにもこんな記事を出して「おもろいやろ、これ、おもろいやろ」などとヘラヘラ笑っているような印象なんですよ。「ラジオに出演しました」とか「雑誌に載りました」とかの記事がずらずら載っていて、そのうさんくささに拍車をかけている。まあ、これは、「底辺職」という記事を通して色眼鏡で見てしまうわけで、偏見の可能性もありますが。

会社の場所を調べてみると梅田近くのビルにあるようで、写真を見てちょっと驚きましたね。一階に吉野家が入っている汚い雑居ビルでした。金のない不細工な私ですら事務所選びはもっと気を遣いましたよ。せめて吉野家じゃなくてマクドナルドにしとけよ、と思いましたね。

ああ、失礼。これも職業差別か。この間の「吉野家シャブ漬け発言」のせいで、つい「吉野家」と聞くと文句を付けたくなる。

こんな雑居ビルじゃあ、就活生の信頼を得られないんじゃないかと心配です。それとも「Web主体やから、事務所ビルなんか関係ないんじゃ。机とパソコン置けて、トイレがついとったらええんじゃ」というような実利優先なんですかね。社長の写真を見る限り、そんなタイプには見えないんだけど。

もちろん立派なビルに入っていてもダメな会社はあるし、汚い雑居ビルでも優れた会社は存在する。だが、「底辺職」などという記事を出した時点で、「なに言うとんねん。お前とこも底辺企業やないけ」と言われても仕方がないのです。

さて、この「底辺の仕事ランキング」に関しては、もう一つの炎上があって、それは私も昨日フジテレビ系のニュースで見ました。非常に胸くそ悪かった。

底辺職とされた職業に就いた人たちを、実際に取材して顔出しで流しているのである。

いいですか、皆さん。

この「底辺の仕事ランキング」という記事の問題点は、職業に対する差別意識にある。問題は、この記事を出した側に存在する。従って、取材すべきは、会社の社長やライター本人であるはずだ。

ところがフジテレビは、トラック運転手や介護士、保育士、ゴミ収集業などの現場で働く人への取材に終始していた。企業への取材に関しては、確か最後の方で「会社からは誰も出てきませんでした」で終わっていたと記憶している。

アホか。この件で大切なのは、Synergy Careerという企業の意識や企業としての評判、社長やライターの人物像などである。まずそこから取材を重ね、この記事に至った問題を明らかにしていくのがジャーナリズムでしょうが。それがまったく存在しないのである。

現場への取材の趣旨は、こうである。

「底辺職として紹介されてましたが、どうお思いですか?」

なんと心ない質問であるか。それがジャーナリストのやるべき仕事か? 誰も「この取材はおかしいんじゃないか」と疑問を呈しなかったのか。ディレクターもインタビュアーもカメラマンも誰も疑問を持たず、放送にまで至ってしまう。まさにマスゴミとしか言えない訳です。

もちろん「どの職業も必要とされている」という最低限のフォローは入れていたが、そんなの当たり前のことであってね、誰でも知っていることなんですよ。逆に、わざわざ入れることで偽善臭が漂っていた。ああ、くさいくさい。

記事を作ったSynergy Careerという会社もクソ。書いたライターもクソ。取材したフジテレビもクソ。もう、ウンコで満たした25メートルプールで100メートルほど泳いだような疲労感を感じてしまいましたよ。

一番の底辺職はテレビ業界ではないか、と思った次第です。